餌を与える行為が悪者のように誤解

ある日、岡本さんは別府市の動物病院を訪れていました。岡本さんは手術代から血液検査、ワクチン接種まですべて自費で支払っています。月に2匹以上、野良猫を避妊・去勢していて、費用は10万円を超えるといいます。

岡本瞳さん:
「オスに毎日追いかけられていると相談を受けたので、避妊しようと思って来た。命なので、お金には変えられない。できる範囲でやっていきたい」

避妊手術を終えたメスの野良猫。耳もさくらの花びらのようにV字型にカット(手術済みの目印)され、住み家である都町の公園に戻ってきました。

岡本瞳さん:
「元気そうでよかった。1日でも長く元気で生きてほしい」

大分県内の猫の殺処分数は2013年度の2545匹、昨年度は457匹と、この10年で2000匹以上激減しました。2019年に県と大分市が運営する「おおいた動物愛護センター」が開設したことや、ボランティアらによる地域猫活動、さくら猫プロジェクトといった取り組みが実を結んでいると考えられています。ただ、「おおいた動物愛護センター」は引き続き、野良猫の数を抑えていく必要性を強調します。

おおいた動物愛護センター 金城巳代志所長:
「殺処分した頭数以上に、飼い主のいない野良猫は存在している可能性が高いので、不妊・去勢というのは進めていかなければならない」

都町では岡本さんの他にも数人が個人で地域猫活動に取り組んでいます。しかし、餌を与える行為が悪者のように誤解されることも多く、肩身の狭い思いをしているといいます。

岡本瞳さん:
「ボランティアは、こそこそとエサをやって避妊・去勢しているので、もう少し理解し見守ってほしい。人と野良猫が共存できる町になればいいなとすごく思っている」

不幸な命をこれ以上増やさないために。地道な活動が実を結ぶためには地域住民の協力と理解が必要です。また「おおいた動物愛護センター」は、動物の遺棄・虐待は刑法違反で罰せられるほか、むやみな餌やりも野良猫を増やす原因となるため、絶対にやめてほしいと話しています。