物価上昇が続く中で、2024年の春闘がまもなく始まる。持続的な賃上げは実現するのか、5%以上の賃上げを掲げた連合の芳野友子会長に、今年の意気込みを聞いた。

連合 芳野友子会長に聞く 春闘2024持続的な賃上げは

連合 会長 芳野友子氏:
2022年2023年と春季生活闘争(春闘)が、割といい状況に来ているので、その波に乗っていきたいと思っていて、2024年度春季生活闘争は正念場と位置づけている。

労働組合の中央組織「連合」の芳野友子会長。2023年の春闘では3.58%という、30年ぶりの高い賃上げを実現した。2024年の賃上げはどこまでいくのだろうか?

連合 会長 芳野友子氏:
2023年は30年ぶりの高水準の結果を出したが、それ以上に物価が上回って、実質賃金上がらない状況だった。物価高が悪いわけではないが、物価を上回る賃上げができなかった。
2024年は5%以上にして、5%を最低水準としている。

連合は2024年、ベースアップと定期昇給分を合わせて5%以上の賃上げを要求。

――2023年が5%“程度”で、5%“以上”が2024年の目標。もう少し上げられないのか

連合 会長 芳野友子氏:
そのためには、中小小規模事業所がどれだけ賃上げできるのか。中小小規模事業所は2023年の賃上げを本当に努力して頑張ってもらった。結果を出してもらった。ところが2024年の目標を設定するときの声として、原資がないとか、ない袖は振れないとか、2023年頑張ったから、2024年は勘弁してくれないかという現場の声も上がってきている。これでは持続的な賃上げを考えたときに、意味がない。今年も、もうひと踏ん張り頑張ってもらいたいが、そのためには、やはり労務費を含めた価格転嫁というものが非常に重要になってくるので、そこに力を入れていきたい。

――価格転嫁ができないと、事業者は実入りが増えないから賃上げもできないのか。

連合 会長 芳野友子氏:
2024年の春季生活闘争(春闘)は価格転嫁、価格交渉、環境整備。この3つがポイント。価格転嫁については、発注先が取引先のことも考えて価格交渉に乗ってもらいたい。価格交渉については、中小小規模事業所は、発注先になるので、これだけの価格転嫁が必要なんだと正々堂々と、価格交渉してほしい。環境整備は、まさしく政労使が一緒になって、労務費含めた価格転嫁に向けて機運の醸成も含めた取り組みを強化していくことが求められている。

政府は2023年11月、経済界、労働界の代表らと意見交換する政労使会議を開催。岸田総理は連合の新年行事に3年連続で出席している。

岸田文雄首相:
今年の春闘に向け、その昨年を上回る水準の賃上げの協力をお願いした。

経団連も、連合の5%以上の方針を「検討に資する」と評価。

経団連経営労働政策特別委員会 委員長 大橋徹二氏:
構造的な賃金引き上げの実現に貢献していくことが経団連、企業の社会的な責務である。

高まる機運に、経営者からは・・・

みずほフィナンシャルグループ 社長 木原正裕氏:
7%位を目指したい。

三井不動産 社長 植田俊氏:
ベアも含めて10%を目指したい。

野村ホールディングス 社長 奥田健太郎氏:
今年は入社3年目までの人たちのところで平均16%の賃上げ。ベアも含めて、今やろうと。

政府、経済界、労働界が一体となって、2024年の賃上げを進めている。