殺人と強制わいせつ致死「成立する」
続いて行われる、検察官による論告求刑。この裁判では、西原被告が被害者に対して、首をタイツで強く締め付ける暴行行為を行ったか▽わいせつな行為を行ったか▽強制わいせつの故意があったか――の3点が争点となると説明。
検察官は、被害者の遺体を調べた医師の証言を元に「被害者が死んだと思い、運搬する目的で首にタイツを巻いて引っ張った」とする西原被告の証言は「全く信用できない」と一蹴。さらに、検出されたDNA型などから、わいせつな行為があったと主張。「心臓マッサージをした際に、指をなめた」とする西原被告の証言も否定した。
また「被害者とのやり取りからイライラを募らせて暴行に及んだ」とする動機についても「好意を抱いていた被害者に対して、死亡させる危険性のある暴行に及ぶというのは飛躍であり不自然で信用できない」と指摘。「当初からわいせつ目的があり、被害者の抵抗を排除するために、両手で首を絞め付ける暴行を加えた」と主張した。
タイツで首を絞め付けたのは、面識のある被害者へのわいせつな行為を隠すための「口封じ」だったとして、被告には殺人と強制わいせつ致死が成立すると締めくくった。その上で、西原被告に無期懲役を求刑した。
弁護側は「懲役15~16年程度の判決が相応」
一方の弁護側。最終弁論で、犯行について「仕事上の不満が募ったことによる突発的なもので、計画性が無かった」とあらためて主張。暴行の内容が酷く、被害者が死亡してもおかしくない内容だったとして、殺人についての争いは無いとした上で「わいせつの意図は無かった」と述べ、強制わいせつ致死の成立については否定した。
その上で、記憶を取り戻したと証言する西原被告が「思い出したことを反省している」ことや「軽度の知的障害を抱え、自閉症傾向があり、感情の制御が難しい」といった事情、さらには西原被告が障害基礎年金から弁償金を支払おうとしていることなど、酌むべき事情を挙げ「懲役15~16年程度の判決が相応」と述べた。