全国的に問題となっている、住む人がいなくなった空き家。再利用が模索される中で、「地域に求められる形」での再生を進めているNPOが、香川県で活動しています。「思い出をつなぐ」古民家の再活用です。

明治時代に建てられた古民家の横で進められる、築100年の建物の解体作業。

普通なら廃材として処分される柱などを、できるだけそのままの形で取り除き、より分けて行きます。そこにはある思いがありました。

(NPO香川県空家空地管理センター 宮谷実代表)
「おじいちゃんの思い、おじいちゃんたちが建ててくれたものを『捨てる』のではなく『使ってほしい』という気持ちですね。全部捨てるんじゃなくてとにかく使ってほしいと」

全国で増え続ける空き家の再利用を、どうすすめていくのか…

「これが明治27年の建物になります」

空き家対策士として活動する宮谷さんのもとには、毎月2、3件、「家具などがそのまま残った古い家を手放したい」という相談があるといいます。その中で、再利用を進めることは、売って終わりではないということに気づきました。

(NPO香川県空家空地管理センター 宮谷実代表)
「この古民家を使ってどう活用するのか、どう地域のために使うのかという次の方に繋ぎたい。ここの方の家を活用さてせいただいて、地域も持続可能になっていくことが多分一番いい繋ぎ方、空き家の対策ではないかなと」

(古川豪太記者)
「こちら、取り壊す建物からでてきた『ザル』にかなり古い『カゴ』ですね。こういったものも、求められる人に受け継ぎ再利用されるということです」

取り壊される建物も解体業者の協力で、昔ながらの立派な梁などは折れないように取り外して、分別・再利用します。

建物としては残らなくとも、求められる人に思い出とともに引き継ぐことが、地域の中での空き家の活用につながると考えています。

(NPO香川県空家空地管理センター 宮谷実代表)
「これらを次の代へ繋いであげる、これらを次の方がうまく使ってくれることによって、両者の思いというのがとても有効につながるのかなと」

ーそこには思いが必要?
「思いですね。思いがないと、なかなか損得だけでは計れないところがたくさんあると思います」

取り壊されていく空き家の「思い出」までも再利用する。増え続ける空き家問題解決のための、一つの道筋なのかもしれません。