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 そして取材班は、仲良くしていた近所の女性が犠牲になったという寺岡勇紀夫さん(81)に出会いました。

 (寺岡勇紀夫さん)「地震は今まで(何度か)来たけれど、それでも何とか耐えていたんですから。地震だけでは(知人も)死ぬとこまでいかなかったと思いますよ。津波も来たから余計…。悔しいですけれど、どうしようもないですわ…」

 酒やたばこの販売をしていた寺岡さんの自宅も大きな被害を受けました。
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 (寺岡勇紀夫さん)「水が来て(壁を)すっぽ抜いてしまったんですよ。これ、軍手が天井の照明器具に挟まっているということは、そこまで水が来てたってことでしょ」

 天井近くの壁にはビールケースが突き刺さっています。水はこの高さまで押し寄せたということです。

 (寺岡勇紀夫さん)「最初は地震で揺れたでしょ。揺れた時間も長かったです。その時はまだ家はしゃんとしていましたよ。15分くらい大丈夫だったんです。そして水が外に出ると(水位が)ドンドン上がってきましたね。(津波が)来るのが本当に早かったですよ」
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 家族は無事、避難することができましたが、1階部分は完全に水没。家具や仏壇、大切にしていた輪島塗の品など、室内のものいっさいがっさいが泥まみれになり流されてしまったといいます。寺岡さんは再びこの土地で新たに生活を始める気力は残っていないと話します。

 (寺岡勇紀夫さん)「ショックというか、まぁしょがうないな。これが人生の運命なんだろうなという。津波が来てみて『あぁ、ここでは生活できないな』と、そういう感じです。夢にも思ってませんでしたね。だって人生80年生きてきた中でこんな津波が来たことなかったんですから」