自民党の圧勝に終わった参議院選挙。“改憲勢力”と呼ばれる、4党の獲得議席も全議席の3分の2を上回る結果となりました。
今回の選挙から見えてくる、「若者と選挙」について、若手政治学者に話を聞きました。
■自民党が単独過半数の大勝“改憲勢力”3分の2以上に
ホラン千秋キャスター:
7月10日に行われた第26回参議院選挙。参院議員の任期は6年ですが、3年ごとに半数ずつ選挙で選び直すため、今回は改選の124議席に欠員補充を合わせた125議席を争う選挙となりました。結果はどうなったかというと…

自由民主党:63議席
公明党:13議席
立憲民主党:17議席
日本維新の会:12議席
国民民主党:5議席
日本共産党:4議席
れいわ新選組:3議席
社民党:1議席
NHK党:1議席
参政党:1議席
無所属:5議席
非改選を含め全体で見ていくと、与党が146議席、野党・その他が102議席となり、与党で半数を超える結果になりました。与党としては、議論などをスムーズに、有利に進められるという状況もあると思いますが、もう一つ注目したい数字があります。

それは、「3分の2」です。これは、憲法改正に重要になってくる数字です。今回、憲法改正に前向きな自民、公明、維新、国民の4党の議席をあわせると177議席となり、全議席の3分の2を上回りました。これによって、憲法改正案を提案し、国民投票を求める発議が可能となります。
次に選挙の受け止めについてです。

自民党・岸田総理「大変厳しい厳しい選挙戦でした。安倍元総理の思いを受け継ぎ、特に情熱を傾けてこられた拉致問題や憲法改正など、ご自身の手で果たすことができなかった難題に取り組んでまいります」
立憲民主党・泉代表「踏みとどまったというところもあるし、あと数議席上積みが可能かもしれなかった選挙区もありました。結果そのものは重く受け止めながらも十二分に挽回していく余地がある選挙結果であった」
井上貴博キャスター:
憲法改正の議論について、どんな意見をお持ちですか?

東京都立大学 佐藤信准教授:
改憲に積極的な政党4つをご紹介いただきましたが、実際には焦点になっているポイントがいくつもありまして、それぞれの焦点に対して、それぞれの政党の態度は違います。岸田総理の会見で「今後、国民の理解を得るために対話集会などを開いていく」というような話もありましたが、実際には、かなり長い道のりが必要で、1個1個の論点について、国民の理解を得ながら、それぞれの政党を組み合わせていくという作業が、今から始まっていくんだと思っています。
井上キャスター:
少し俯瞰で政治を見て日本の選挙制度などは、どうご覧になっていますか?
佐藤准教授:
今回の参院選は、前回より多少投票率は上がりましたが、やはりずいぶん低くとどまっています。その原因の一つとしては、システムがわかりにくいところがあるかなと、常々学生と接していて感じます。
具体的には、参院選のシステムは選挙区と比例代表の2つの票を投じるシステムなんですけれども、これは衆院選と同じです。しかし、選挙区も比例代表も衆院選とシステムが違う。比例代表には政党も、個人名も、書ける。しかもそこに特定枠というシステムまで入ってくる。大学の授業で説明するのも苦労するようなことを、国民みんな分かって投票して下さいというのは、やはり無理があるんじゃないかなと思いますし、より国民にわかりやすい政治のシステムを考えていくべきだと感じています。