能登半島での地震で被害の状況が徐々に明らかになる中、福島県いわき市では、心身に重い障害がある子ども=医療的ケア児の避難を想定した訓練が行われました。

笠間真紀さん「やっぱり体が曲がっていたりとか歪んでいたりとか、自分で寝返りができないとかがあるので」

2メートル四方のテントの中で過ごす子どもと母親。子どもは手足を自由に動かすことができないため、関節が固まらないよう、クッションを挟みます。

これは、災害の際に、医療的ケア児が福祉避難所で過ごすことを想定した訓練です。呼びかけたのは、医療的ケア児の笠間理恩さんの母で、家族の会の代表でもある真紀さんです。

訓練には医療や福祉、行政の関係者など、理恩さんのケアに関わるすべての人が参加しました。これまでも理恩さんとともに、実際の避難ルートを歩く訓練をしてきた参加者たち。今回のテーマは、福祉避難所の質の向上です。

「もし避難所に設置するとしたらどっち向きですか?」
「決まりはない」
「笠間さん、コンセントをどういう風にしますか?」

様々な種類のテントを実際に立てて医療機器をつなぎ、それぞれの立場から、気づいたことを共有します。

笠間真紀さん「湯たんぽとか電気毛布で保温するのもお湯を沸かすのも全部電気。1発電機で2人が限界かも」

避難所にある発電機では、ケア児の医療機器が2人分しかまかなえないことも判明しました。

笠間真紀さん「一言でいうならやってよかった。実践じゃないと見えないことっていっぱいあるので、今回もガソリンタイプの発電機でもケア児1人か2人入れられるかどうかというところまで計算できた」

いわき市医療センター未熟児新生児科・本田義信医師「医者の力には限界がある。医者は病院での治療のことしかわからないので、現場のことは全く知らないですから。こういうところで一緒に活動するとほぼ知識レベルは同じ。お互い学ぶことは50:50」

家族の会では、これまでの課題や成果をまとめた上で、2月11日に報告会を開く予定です。