今年12月に今の健康保険証が原則廃止されることが決まっていますが、「マイナ保険証」の利用率は低迷を続けています。厚労省が今年の重要課題に掲げる「利用率の向上」は達成することができるのでしょうか。

マイナンバー制度をめぐっては、他人の情報が誤って紐づけられている問題が発覚し、去年、政府は総点検を行いました。その結果を受け、政府は、今年12月2日からは健康保険証を新たに発行しないことを決めました。

廃止後も有効期限が残っている保険証は最長1年間使うことができるほか、マイナンバーカードを持たない人には保険証の代わりとなる「資格確認書」が配布されます。

一方で、患者の窓口負担の割合が異なって表示されるなどのトラブルも相次いでいて、去年11月時点の「マイナ保険証」の利用率は4.3%にとどまっています。

厚労省は今月から「マイナ保険証」の利用率が上がった医療機関に支援金を給付することを決めていて、この支援金とカードリーダー設置の補助に今年度の補正予算から200億円あまりを充てることとしています。

武見厚労大臣が「あらゆる手段を通じて利用促進に向けて努力する」と話すように、利用率の向上に力を入れる一年となりそうです。

厚労省の幹部は「マイナ保険証は将来的な医療DXの基盤となる先行投資のようなもの」としていて、現段階でのメリットを感じにくいことは認めています。

現時点ではマイナ保険証を使うことのメリットは、薬の処方履歴を医療機関が確認できるようになるなど限定的ですが、将来的には「電子カルテ」などが導入され、医療機関同士の患者の情報交換がシステム上でできるようになる予定です。

「電子カルテ」については、遅くとも2030年までには概ねすべての医療機関に導入される方針ですが、多くの人が安心してその便利さを感じられるようになるまでは、まだまだ時間がかかりそうです。