そうした中、函館駐屯地に非常呼集のアナウンスが響き渡ります。

 「直ちに出動態勢をとれ」

 函館南西沖200キロでレーダーが識別不明機を発見したのです。駐屯地に設置された「高射機関砲」に、ソ連軍を迎え撃とうと、弾薬が込められました。自衛隊始まって以来の敵機攻撃…発射ボタンに手がかけられた、その時。

 「目標は友軍機、発射を待て」

 識別不明機の正体は、航空自衛隊の輸送機でした。

函館空港に残されたミグ25

 結局、ソ連による機体奪還はなく、18日後、ミグ25は、詳しい調査のため、航空自衛隊百里基地へ移送されることになりました。