焦点は「収支報告書の不記載」違法性の認識は?

井上貴博キャスター:
政治とお金の問題って収支報告書の不記載が焦点になるじゃないですか。でもそれだと、「これは会計責任者の責任です」、あとは「寄付だと思ってました」と言ってどうしても逃げられてしまう。もう少し特捜部も踏み込んで、例えば脱税とか、そういうところまでぐっと一歩踏み込むことってのはできないんですか。

西山弁護士:
まずお金の流れの全体を明らかにした上で、収支報告書の不記載についての違法性の認識があったことっていうのを明らかにして、さらにその先で所得を隠していたんだっていうところで脱税捜査にも及ぶっていうところについては想定されます。

まず今は、お金の流れを明らかにするってことに焦点を当てて捜査をしてるんだろうなっていう印象を受けています。

産婦人科医 宋美玄さん:
安倍派幹部の4人がバラバラに聴取を受けるとき、弁護士とかの立ち会いもないんですよね。

西山弁護士:
弁護士の立ち会いはないですね。

宋さん:
そうであれば、例えば4人が言うことを事前にすり合わせて同じ言い訳をするとか、そういったことを見抜いたりすることは可能なんでしょうか?

西山弁護士:
当然、今の段階で「こういうふうに違法じゃなかったって話をしよう」ともう既に口裏合わせをしている可能性はあるわけなので、それを前提に現状の供述を固めた上で、それと矛盾する客観的な証拠っていうのを特捜部は今精査している段階にありますので、それが終わった段階で逮捕をするなどして、口裏合わせができない状態を作って証拠をぶつけていくってことを考えてるのかなというふうに思います。

今後の捜査 ポイントは?

加藤キャスター:
今回の任意の事情聴取についてですが、その要請があったのは、安倍派の事務総長の立場にいた、もしくはいる人物になるわけですが、この派閥の事務総長というのは実務の取りまとめ役で、資金の流れを知りうる立場にある人物なわけです。

その人物に要請を行った東京地検特捜部の狙いとしては、「収支報告書の不記載に至った経緯をどこまで把握しているのか。また、共謀の有無を聞き出すだろう」と西山弁護士は話しています。

井上キャスター:
例えば、事務総長から指示を受けたという物的証拠やメモなどが見つからないと、議員の立件ってのはかなり厳しいと思うんです。「慣例に沿ってやってただけなんです。我々は知りません」って逃げられてしまう気がするんですが。

西山弁護士:
やっぱり物的証拠があった方がそれに基づいて追求っていうのはしやすくなるので、ないっていうことについては立件のハードルが上がってくるところではあるんですが、やはり、他の関係者の方々の「不記載の指示があった」という証言がありますので、そこに基づいて追求していくっていうことを今考えてるんじゃないかなっていう想定はされますね。

上村キャスター:
2024年1月には国会も始まりますが、今後、聴取はどこまで広がっていくのかと、スケジュール感はいかがでしょうか?

西山弁護士:
これは私が福岡のときに脱税事件とか政治家の汚職事件を特捜部と同じようにやる特別刑事部ってところで捜査をしていたからわかるところではあるんですが、短期間で終わらせるっていうこともあれば、さらに1年間かけて捜査をするっていうことも想定されますね。