■選挙中の警護は難しい「反する2つの考え方がぶつかってしまう」
ホラン千秋キャスター:
今回の件に関してですが、様々な情報が少しずつ出てきました。この事件に関してどう思われていますか?

元警視総監 池田克彦さん:
率直に申しまして、選挙の警護というのは大変難しいです。今回の事件も選挙に伴う警護ということで「こういう事件が起こってしまったか」というのが率直な印象です。
ホランキャスター:
選挙の警護が難しい理由について具体的にどんな点が難しいのか教えていただいてもいいですか。
元警視総監 池田克彦さん:
選挙ではやはり政治家の皆さんは聴衆、一般の人たちに近づきたい。警護の原則は、できるだけそういう人たちと政治家の皆さんを隔離するということです。これが原則ですから、明らかに反する二つの考え方が選挙の場でぶつかってしまう。どうしても政治家の皆さんの意見を尊重しますので、そういう意味で非常に警護は難しいというふうに言えると思います。
井上貴博キャスター:
相反することをやっていく中で、もちろんSPの皆さんも怪しい人物に注意を払っていると思いますが、明確な意図を持ってこういった人物が出てきたときの対処法は何かアイディアございますか。
元警視総監 池田克彦さん:
事前に明らかにおかしな行動をしていれば、それはいわば事実行為として近づけないという措置を取れると思うんですけども、事前にそういう明らかな兆候が見られない場合は、やはり距離をとる。それから少しでも行動を起こしたときに、警護員が素早く動く。こういうやり方で対応することになろうと思います。
例えば、今回も急遽日程が入ったと。これも選挙警護の難しいところなんですけども、急遽日程が入ったために警備計画を綿密に作る時間がなかなか難しいというのもありますし、それから普通こういうことはあんまりやらないんですけど、360度一般の方が政治家の周りを囲む形になりますよね。こういう形だと警護の目が分散する格好になるんですね。そういうやり方をとらざるを得ないところで、こういう問題が起こると思うんです。ですから聴衆は1か所にまとまってもらうとか、あるいは政治家の皆さんがもう少し(聴衆に)接触するのを遠慮するとか、そういうことをお願いしていくことが大事かなと思いますね。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
特に選挙の終盤になってきますと重点選挙区が出てくるので、日程をなかなか早くから立てておくって難しい。急遽変更していくというのはもう連日のように起きるわけですよね。その場合、警備体制としてはどういうふうに対応してるんですか?
元警視総監 池田克彦さん:
日程がわかった時点で、その当該県警が至急警備計画を作る。それから警護班はおそらく、予備部隊をあらかじめ持っていますから、その人たちを的確に把握配置するということが大前提だろうと思います。さらに数多くの場所を転々と回られる人がいます。こういう場合は、どのように転身させるかというところまで警備計画を作りますので、そういうところは確かに難しいところがあると思いますね。