職場や友人の支えが嬉しかった

猪狩さんは、千葉犯罪被害者支援センターによる支援だけでなく、身近な人達の支援で嬉しかったことについても話しています。

犯罪被害者ご遺族 猪狩芳江さん
「父が事件に巻き込まれたことを会社の上司に話して『刑事さんから電話がかかってくるのでそれに対応してもいいですか』と相談したら、気にせずどんどん協力するように言ってくださり、裁判でも友人の一人が最初に裁判の傍聴をしたいと申し出てくれ、涙が込み上げてくるほどに嬉しかったです」

千葉犯罪被害者支援センターの理事長・大橋靖史さんは「国や自治体による支援も大事だが、周りの人々みんなが支えていくことで初めて支援ができる」と話していました。

犯罪被害者遺族の思いが記された「ミニ・生命のメッセージ展」

会場の入り口付近では、「ミニ・生命(いのち)のメッセージ展」も開催されました。理不尽に生命を奪われた犠牲者ひとりひとりの等身大の人型パネルに写真と家族のメッセージが添えられ、足元には遺品の靴が置かれています。保育園で、うつぶせ状態で窒息し、亡くなった9か月の男の子。集団登校中、無免許の少年たちが運転する車にはねられた7歳の女の子。両親が求める検視、解剖を警察が行わず自殺と断定された15歳の男の子。これらの展示を見た、お子さんがいるという女性に感想を聞きました。

来場者の女性
「この裏にある親御さんの気持ちは、ここに書かれているだけではとても表現できないものがあると思う。(私の)子供がちょうど中学生、高校生ということで、いじめの問題とかもありますし、新聞とかに表れているのは氷山の一角だと思うんですね。だからそういうのを、本当に少しでも減らしていけるように、大人が努力していかなきゃいけないなって強く感じました」

犯罪被害者支援の在り方とともに、理不尽な犯罪、理不尽な死を少しでも減らすため何ができるのか、ということも考えさせられるイベントでした。

(TBSラジオ「人権TODAY」担当・中村友美)