【責任能力について】
精神鑑定を行った医師は、養父の虐待をきっかけに感情調整や対人関係が苦手となった「複雑性PTSD」など被告に3つの精神障害があったと診断している。
この精神障害が犯行にどのような影響があったのか、検察側、弁護側で見解に相違が出ている。
検察側は、犯行時に完全責任能力があったと主張した。
犯行を計画し凶器などを事前に準備していることなどから、「判断や行動をコントロールする力は低下していたものの、健康的な人でも起きる程度」と指摘。
弁護側は、被告は心神耗弱状態だったと主張。
臨床心理士の証人尋問で被告は母親に就職先を勝手に決められ、これまでの努力が無駄になった絶望感などで「限界状態だった」と指摘した。
検察側 求刑は死刑
こうした審理を経て、12月11日、21回目の公判で検察の求刑が行われた。

検察官:
「精神鑑定の医師は精神障害はいずれも犯行の判断や行動に影響を与えるものではないと証言した。さらに凶器の購入や逃走先の確保など犯行の計画性が認められる」
更に犯行形態にも言及した。
検察官:
「一連の犯行は無抵抗な夫婦に何度もナタをたたき続け、その後、放火するなどひとかけらの慈悲もなく非人間的で生命を軽視した残虐なもの」
その上で、こう述べた。
検察官:
「裁判中、何度も反省の態度を示す機会があったものの『よくわかりません』などと述べるにとどめていて更生の可能性はない。被告を死刑に処するのが相当」
その時、被告は眉間にしわを寄せ、前をじっと見つめていた。