イスラエル軍による攻撃はパレスチナ自治区ガザだけでなく、もう一つの自治区、ヨルダン川西岸でも続いています。その巻き添えで、脳に大きなダメージを負った14歳の少年の心の叫びです。
ヨルダン川西岸地区にあるリハビリセンター。ベッドには14歳のパレスチナ人、バセムさんの姿がありました。
10月30日、彼の暮らしていた「ジェニン難民キャンプ」は、イスラエル軍の攻撃を受けました。そして…
パレスチナ人 バセムさん
「ぼく…屋根の上…兵士…」
ドローンによる爆撃で飛び散った破片が、学校から帰る途中のバセムさんを直撃。頭の骨の一部が砕け、集中治療室に運ばれました。
記者
「手が、体中がやけどを負って、このようになっている。そして頭の骨が砕けて、柔らかい状態に」
おじ
「攻撃の後、どうなったの?」
バセムさん
「…」
おじ
「その後、何が起きたの?」
バセムさん
「…」
バセムさんの脳には障害が残り、回復は絶望的だということです。
おじ
「バセムは家族を支えるために勉強を頑張っていました。こんなことになり、『死んだ方がましだった』と言っていました」
“ヨルダン川西岸地区でのイスラエル軍による攻撃は、ガザでのイスラム組織ハマスとの戦闘開始以降、激しくなった”。現地の医師はそう証言しました。
ヨルダン川西岸の医師
「これまでは、こんなに多くの子どもを診ることはありませんでした。子どもの犠牲が増えています」
国連の調査によると、この2か月で死亡したヨルダン川西岸のパレスチナ人は240人を超えていて、うち64人は子どもです。
攻撃で帰る場所も失ったバセムさん。「将来、何がしたいか」尋ねると…
おじ
「将来何がしたい?結婚は?」
バセムさん
「したくない。僕は軍に…」
おじ
「バセムは自分の土地を守るため、イスラエルに抵抗したいんです」
彼の心には憎しみが芽生えていました。
ヨルダン川西岸地区にはキリスト生誕の地「ベツレヘム」があります。ガザ地区で多くの命が失われるなか、今年はクリスマスの行事が中止される見通しです。
祝祭を取りやめたこちらのキリスト教の教会では、ガザのクリスマスを有名な「キリスト降誕」のシーンになぞらえていました。
牧師
「世界中がツリーやイルミネーションで祝うなか、これがパレスチナのクリスマスです」
そのガザではイスラエル軍による攻撃が続いています。この2か月あまりでおよそ1万8200人が死亡。けが人は4万9000人を超えていて、被害は拡大し続けています。
注目の記事
うどんを食べて育った「讃岐うどん雲丹」?!不思議な “食事シーン”をご覧あれ 水産科の高校生が飲食チェーンと共同研究し商品化【香川】

『あの外国人女性はどこに?』1970年万博パビリオンで忘れられない出会い 77歳男性の願い叶うか―― 55年ぶりの万博で起きた奇跡に密着

「ママ、涙が止まらなかったんだよ」2歳の娘にいつか伝えたい 消えたぬいぐるみ「コアちゃん」のこと 40軒の聞き込みとSNS、海を越えた宝探しが繋いだ“再会”

父親の腎臓を移植した男性 「使命感で」体育教師の夢捨て人工透析の技士に 31年後に再発、また透析生活…次に命をつないだのは-

原因はまさかの“ヘビ”…変電所内で体長約1.5m、焦げた状態で見つかる 県西部で約7100世帯の停電 富山

【1300年ぶり天体ショー】“一生に一度の輝き” 緑に光る“レモン彗星”最接近へ 島の天文台館長が伝授「日の入り後1時間」の勝負

