心に響いた「元患者の言葉」 大きな決断を下す

走り続ける伸子さん。

取材を受けるようになって約1年が経った今年3月、伸子さんは大きな決断をした。オンラインの集いで、元患者が口にしたある言葉がきっかけだった。

(伸子さん)「患者さんがお話されていたときに、“支援する側がもっとオープンにしないと誰も話さない、心を開かないですよ”っていう言葉がすごく響いた」

「もっとオープンに」この言葉に答えたい。伸子さんは元患者や、悩んでいる人に寄り添うため“自分を隠す”ことをやめた。

「今年からは、テレビで顔を出してお話しようと思うんです」
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被害者遺族だと告白することで、周りに余計な心配をかけるのではないか、生活しづらくなるのではないか、当事者だからこそ感じる不安もたくさんあった。しかし、伸子さんは顔を出して自ら伝える道を選んだ。それは「悩む人を孤立させない」との思いを実践するための強い覚悟だった。