容疑者の男“拡大自殺”か
事件を起こしたのは、大阪市内に住んでいた谷本盛雄容疑者(当時61)。クリニックにガソリンをまいて火をつけ、自らも死亡した。
社会から孤立した容疑者が、過去に通院していたクリニックで、他人を巻き添えに、“拡大自殺”を起こしたとみられている。
(捜査関係者)「谷本(容疑者)のスマートフォンには交友関係を示す連絡先はなかった。銀行口座の残高もゼロ。仕事もなく生活が困窮し、社会からの孤立を深める中で、自暴自棄に陥っていったのではないだろうか」
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事件のあと、発達障がいがある女性が現場を訪れた。学校で同級生から冷たい言葉を浴びせられるなど集団生活になじめず、孤立して育ったという女性は、こんな言葉を口にした。
「(谷本容疑者は)自分とグラデーションの地続きにいる存在」
女性は、自分が周りに理解されず、「わがまま」「やる気がない」などと非難される日々。しかし自分を責め続けると心が持たない。苦しさが重なると『自分を守るため他人を恨むこともあった』という女性は、谷本容疑者を特別と思うことはできなかった。
「もしかしたら、谷本容疑者が私だったかもしれない______。と、少し思いました」
“孤立を深めた末に、事件を起こす”現代の日本で何度も耳にする言葉だ。伸子さんは兄の死をきっかけに、こうした人々とかかわっていく道を選ぶ。














