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2021年12月17日、午前11時頃。レストランに入り注文したランチを待っていた。ふとスマホを見るとニュースが流れてきた。
“西梅田で火災発生”
記事には『心療内科 北新地』の文字。心がざわめきたった。
「あ、兄のところだ」
注文した料理を置いてタクシーに乗り込む。向かったのは、大阪の北新地「西梅田こころとからだのクリニック」。放火された現場は兄、西澤弘太郎さん(当時49歳)が院長を務めるクリニックだ。
急ぐ道中で、タクシーのラジオニュースがさらに不安をあおる。
『西梅田で火事が発生した影響で道が渋滞…』
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弘太郎さんの妹・伸子さん(46)は途中で車を降り、走って現場に向かった。混乱する現場では、何もわからなかった。
帰宅して夜10時頃、母からの電話で兄が死亡したことを知った。この放火殺人事件で兄のほか、クリニックに通う患者やスタッフ、計26人が犠牲になった。
想像もしなかった深い悲しみが、突然襲ってきた。しかしこの日を境に伸子さんは“生き方”を大きく変えていくことになった。














