第3章 携帯電話が盗まれた
[登場人物3]警備員役:イノウエ
息子の紛失物について、イノウエを名乗る病院の警備員役が、紛失した携帯電話を犯人が持っている可能性があるとし、息子の携帯電話に連絡をしないようにと、本当の息子との電話を遮断します。
恵俊彰:
畳みかけて色々な登場人物を出すことで(冷静な)判断をさせないようにしているんですか?
元大阪府警刑事 中島正純氏:
おっしゃる通りで、特殊詐欺は最初に不安をあおる。究極に不安にさせて、次から次へと登場人物を出し、色々なことを言うことで、高齢の方はどんどん精神的に追い込まれて、どうしても信用してしまう
第4章 俺の不祥事になる

再び息子から着信があり、「紛失した財布から抜き取られた」「銀行のキャッシュカードが一時的に利用停止になり、きょう中に役所に支払わなければならないお金が納められない」「自分の不祥事になってしまう」とターゲットに告げます。
警備員役が入手した職業の情報を活用し現実味を感じさせ、窮地に陥った息子を「何とかしなければ」と母親ならではの心理に追い込みながら、本題であるお金の話に入っていきます。
[登場人物4]上司役:タカハシ
息子役は上司のタカハシが金を一時的に立て替えてくれると伝えます。さらに「家には今現金がいくらあるか」「俺が家に金を取りに行くから」と話すことで、直接取りに行く=詐欺ではないと安心させるという狙いがあります。
第5章 体調が悪いから
[登場人物5]タカハシの息子登場
再び息子役から着信があり、「病気が悪化した。体調が悪いためタカハシさんとタカハシさんの息子3人で実家に向かっている」ということが伝えられます。
これは自宅に他人が金を受け取りにいくという、よく考えれば異例の事態を不自然に見せない、布石づくりと言えます。