クリスマスやお正月など、楽しいイベントが多い12月。その影で増加するのが特殊詐欺です。高齢者を狙った悪質な特殊詐欺の最新手口に迫ります。

特殊詐欺 なぜ12月に増加?

2022年の特殊詐欺検挙件数と被害総額を見ると、ともに12月が最大となっています。年末にかけて増加する特殊詐欺。元大阪府警刑事・中島正純氏はその原因を
「12月はクリスマス・正月など、高齢者宅に現金が最も多くなる時期。だから狙われやすい」と分析しています。

特殊詐欺・・・その最新手口

中島氏は、最近横行している詐欺として「公的機関や大企業を名乗った特殊詐欺」を指摘しています。その際に犯人が名乗る職業としては…
・警察官
・自治体職員
・年金事務所職員
・NHK職員
・厚労省や税務署の職員 
など公的機関の職業名がズラリと並びます。

元大阪府警刑事 中島正純氏:
実は『ルフィ事件』のルフィも、警察官と金融庁の職員を名乗っていたんです。(人間の心理として)公務員や大企業(の職員)はあっさり信用してしまう。

最新オレオレ詐欺「スーパー劇場型」とは?

特殊詐欺の最新手口として、岐阜県警が公開したのは「スーパー劇場型」オレオレ詐欺。高齢者女性を狙った悪質詐欺です。この手口に関して、特殊詐欺を取材するジャーナリスト・石原行雄氏は「劇場型オレオレ詐欺の7つの巧妙手口が盛り込まれたまさに“スーパー劇場型”」だと表現します。
電話口の登場人物として、5人もの役割分担がなされた巧妙な詐欺手口の実態に迫ります。

第1章 ~衝撃の幕開け~ 息子が重病

[登場人物1]医師役:ヤマシタ
最初の着信は医師からのものでした。
息子が喉の「がん」である可能性を告げ、最初の電話でターゲットの不安を一気にあおります。また、喉の治療のために声が聞き取りづらい旨を説明し、息子役の電話の声に違和感を覚えないように伏線をはります。

第2章 2人の秘密に

[登場人物2]息子役
2回目の着信では息子役が、精密検査を理由に、病気を「2人だけの秘密にしておいて」と伝え、他人に相談しないようにターゲットを口止めします。
再びかかってきた息子役からの着信では、病院で携帯電話と財布を紛失し、見つかったら病院の警備員から連絡がくることを説明し、新しい登場人物の介入を示唆させます。

特殊詐欺を取材するジャーナリスト 石原行雄氏:
伏線、伏線で次の話題にいく。しかも一発目からいきなりお金の話をしないというところで信頼してしまう