五里霧中で神経を張り詰め「天祐ヲ祈ルノミ」

「本当にぎりぎりの戦いだったんだろうなというのがよくわかる」こう話すのは日本海軍について研究している沖田恭祐さんです。

日本海軍について研究している沖田恭祐さん:
「基本、軍人ってあまり自分の心情を書かないんですね。それが非常に自分の気持ちとして、正直に書いてある本なので、兵士たちがどういう気持ちで、どういう感覚でアメリカに突き進んでいったのかっていうのが非常にわかる日記になっています」

沖田さんが注目したのは、真珠湾攻撃に向かう“兵士の心情の変化”と“日本軍の緊張感”でした。

所在を隠し、密かに真珠湾へと向かう日本機動部隊。しかし、ハワイに近づくにつれアメリカに発見されることへの不安も高まります。

12月7日《夜ノ星ヲ 飛行機ト見誤リテ 一同緊張セルコトアリ》
12月4日《(発見されないよう)後 数日 只 天祐ヲ 祈ルノミ》

飛び立つ偵察機を見て──

《全員 爆音ノ消エユク彼方ヲ 拝ム 気持アリ》

そして攻撃当日、真珠湾から敵の空母がいなくなっていたことで緊張に拍車がかかります。空母からの反撃の恐れがあるとして数回にわたって警報が発せられます。

12月8日
《赤城ヨリ「敵空母2 巡洋艦10 所在不明。警戒ヲ厳ニセヨ》
《敵機接触シアル疑ヒアリ 警戒ヲ厳ニセヨ》

沖田さん:
「はっきり言って“空母 対 空母”の戦争って、アメリカも日本もその当時したことがないので、どう、どこから敵が来るのかわからないから、そんな中で発見されてもいけないし。本当に五里霧中でいっていたんだなというのがよくわかる。
いろんなものに神経を張り詰めながら行動していったんだなと」