「増税」と「減税」が入り交じる来年度の税制改正。岸田総理は企業への「減税」で賃上げを促す方針でしたが、ここに来て「増税」論が急浮上。そのチグハグさが浮き彫りとなっています。
きょう、企業に賃上げを促す“減税策”を議論した自民党の税制調査会。しかし、終了後、トップが言及したのは「増税」論でした。
自民党 税制調査会 宮沢洋一会長
「(減税策の)効果を大きくするためにも、法人税率の引き上げも中長期的には考えていかなければいけないという意見が出ている」
「減税策」を話し合う傍ら、「増税」意見が浮上しているというのです。
岸田総理(先月29日)
「賃上げが最重要課題」
岸田総理が進めてきたのは、法人税を“減らす”施策です。一定程度の賃上げをした企業の法人税を減らす賃上げ税制は、去年拡充したばかり。さらに拡充し賃上げを促そうというさなかでした。やりたいのは「減税」なのか、「増税」なのか。
動き出した増税派。背景にあるのは、企業のお金の使い方への不満です。
記者
「増税派が目を付けているのは企業が賃上げや設備投資には使わず会社に貯め込んできたお金、いわゆる内部留保です」
「内部留保」は、企業が貯め込んできた利益の合計のこと。企業の「内部留保」は11年連続過去最高を更新し、555兆円にまで膨らみましたが、人件費の伸びはわずかです。
これには財務省も…
財務省関係者
「こんなにため込んでいる大企業をそんなに優遇する必要があるんですかね」
財務省関係者
「法人税を下げても貯めてばかり。法人税を上げて投資した企業だけ優遇した方が良いでしょう」
一方の経済界。法人増税にはもちろん反対です。
経団連 十倉雅和会長
「法人税改革は(企業の)取組みを後押しするものであるべき。わが国の法人実効税率は主要国の中で依然として高い」
賃上げを促し、「減税」色もアピールしたい岸田政権の思惑とは裏腹に浮上してきた「増税」論。与党の税制改正大綱は来週にもまとめられる見通しですが、増税・減税とチグハグさが目立っています。
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