娘に報告したい『あなたの命は犯人の命より決して軽んじられることはなかったよ』

結実はしっかり者でしたが、怖がりな一面もありました。いきなり勢いよくガソリンをかけられ、「死ね」と言われたとき、どんなに怖かっただろうかと思います。炎に包まれたときの体の苦痛、心の苦痛、全部取り払ってあげたいと思いました。
結実は22歳でした。大切に育ててきて、やっと社会に飛び立ったばかりでした。代われるものなら、代わりたい。自分自身なんかとは比べられないほど大切な存在です。息子にとっても、大好きなお姉ちゃんです。あの日の前に戻れたら、ああしてこうして…と、事件を防ぐためのシミュレーションをしてあれこれ考えてしまいます。1人で泣いたり、結実が好きだったおかずを並べたり、結実のことを考えない日はありません。
被告人には一番重い死刑を望みます。娘に「あなたの命は犯人の命より軽んじられることはなかったよ」と報告したいのです。こんな凄惨なやり方で殺された36人、その家族のことを考えたうえで、許されるものでしょうか。私は許せません。結実の前では、強くて優しい母でいたいと思いますが、この気持ちだけは、譲れません。どうか、厳正な判断をお願いします。以上です。
――この日、計8人の犠牲社員の遺族らの意見陳述が述べられた。次の審理でも遺族らの意見陳述が続き、さらに、事件の被害者らが直接意見を述べていく。