国土交通省の職員を対象にした研修で、10年間にわたって数々の差別的な内容が書かれた教材が使われていたことが分かりました。その矛先は障害や疾病がある人、さらには高齢者まで。問題の教材を作り、研修を担当した講師が取材に応じました。

国交省の研修で差別的教材、障害者・高齢者 標的に

行政スキル研修「行政相談対応実践講座」と書かれた資料。
国土交通省で国民から行政相談を受ける機会がある職員の研修で使われていた資料です。
しかし、そこには…

資料の一部
「対応が困難と思われるクレーマーのタイプ」
「軽度の人格障がい〈不安神経症、パラノイア〉」
「発達障害〈アスペルガー〉」
「不安神経症タイプへの対応。子供と同じ仲良くすればいい」

障害や疾病がある人を蔑む内容が書かれています。
JNNはこの資料を使った研修の音声を入手しました。そこにも…

研修の音声
「アスペルガー、発達障害。色々な発達障害があると思います。暗黙のルールが分からない。一般的にはパラノイアと言う。マニアック、凝り性、やたらとお金に関しては凝り性」

研修は、行政相談への対応スキルを養うことを目的としていましたが…

研修の音声
「対決姿勢をとる。私はたまたま正座をして睨みつけるというのが対決姿勢。余計なことは言わない。けんか別れをしてください」

この研修を実際に受けた国交省の現役職員が取材に応じました。

研修を受講した国交省職員
「非常に憤りを感じた。国民の方から預かった税金でこのような間違った研修をしているということが怖い。人を排除しようとするようなテキストかなと思い、怖さを感じた」

研修は、国土交通大学校という国交省の職員向けの研修施設で行われ、国交省が所管する気象庁などの省庁や独立行政法人など、様々な組織の職員も参加しました。

研修を受講した国交省職員
「国土交通省では心のバリアフリーであったり、示していながら実際の研修では障害者の方を排除する内容だったことが問題だと思う」

研修は、委託されたコンサルティング会社の社長が自ら講師として登壇し進められました。