性暴力は次第にエスカレートしていき…

講師の家で勉強をしていたある日のこと…。2人きりでテレビに向かって座っていたときでした。

さやかさん
「後ろからズボンに手を入れられて、でも私はその時は意味が分からなかったので、なんでそんなことするんだろうと」
講師の行動に違和感は感じたものの、すぐに抵抗することはありませんでした。

すると次第に性暴力はエスカレート…。服を脱がされ、裸の写真を撮られることもありました。

さやかさん
「私がちょっと嫌がると『早くしろよ』と怒鳴ったり、逆に『これは愛してるからするんだよ』みたいな感じで説得されたり、しつこく迫られて根負けしたり」

「嫌だ…」「もうやめたい…」。そう感じる一方で、講師からの「自分以上に愛してくれる人はいない」という言葉に、本当にそうなのかもと洗脳され支配されていったといいます。

さやかさん(仮名・20代)
「『逆らえない人』みたいな感じで、逃げようとも思ったことがあんまりないです」

両親に打ち明けたら悲しませてしまうかもしれない─。誰にも相談する勇気が出ないまま、性被害はおよそ10年間続き、大学生になっていました。

さやかさん(仮名・20代)
「大事になればなるほど、もう全然言えなくなって。だから最初のところで止められたら1番よかった」

性暴力から解放されても、涙をこぼしながら数日間、布団から出られないこともありました。それから数年後。さやかさんの思いを変える出来事がありました。

「テレビとやネットニュースで、フラワーデモや裁判しましたとかニュースを見て『自分だけじゃないんだ』と思って勇気をもらった」

自分が立ち上がることで、今被害を受けている人を救えるかもしれないー。そんな思いで、初めて相談窓口に被害を告白しました。ことし、講師への損害賠償を求める裁判を起こし、和解が成立しました。

さやかさんの弁護士は、こうした教育現場での性被害は少なくないと話します。

寺西環江弁護士
「学校の先生やスポーツクラブなど、権限を持ってる人が言うことを聞かせやすい、支配関係も作りやすい構造が潜在的にあると思います」