子どもが助けを求められるように “日本版DBS”の議論も続き

国では現在、『日本版DBS』という新しい制度の議論が進められています。『日本版DBS』とは子どもに接する仕事に就く人に性犯罪歴がないことを確認するシステムです。学校や保育所などの教育機関がこれから採用をする人に性犯罪歴がないかを確認することができる制度です。

制度の議論を進めている子ども家庭庁の有識者会議の報告書によりますと、『日本版DBS』の内容について、様々な議論が進められています。

主なものは、「対象の職種」と「対象の犯罪」です。
・対象の職種
小学校や保育所などの公的な機関は「義務」そして、学習塾やスイミングスクールなどの民間の事業者は「任意」としています。
・対象の犯罪
裁判所による有罪判決が確定した「前科」としています。

それぞれ、対象の職種の義務化の範囲や対象となる犯罪の範囲については現在も慎重に議論が進められています。

この『日本版DBS』について、被害にあったさやかさん(仮名・20代)は、犯罪を防ぐ新たな第1歩と期待を感じています。その一方で、新たな被害者を生まないために子どもの性教育が必要だとも感じています。

さやかさん
「(子どもの時)私は性知識が乏しくて、性的なことされていると気付くのにも、『この人はおかしい』と思うにも時間かかった」

そして、子どもに知ってもらいたいこととして次の2点を挙げます。
・他人が勝手にプライベートゾーン(水着で隠れる部分)を触ってはいけないこと
・嫌なことをされたときは相手が大人でも信頼できる誰かに相談してよいこと

さらに、さやかさんの弁護士は子どもが被害を告白することの難しさを、周りの大人が認識しておくことも大切だと指摘します。

寺西環江弁護士
「『私がちゃんと断れなかったからいけないんだ』『すぐ警察に行かなかったからいけないんだ』と自分を悪く思ってしまう人がいるが、そうではない。(被害に遭ったとき)声が出ないのが普通で、逃げるのはとても難しい」

さやかさんも「もし傷つくようなことがあっても『自分は悪くないよ』とわかっていてほしい」と話します。

子どもが犯罪を認識して助けを求められるように。そして、周りの大人がそれに気づけるような社会であってほしい。さやかさんの願いです。