「勝てなくてごめんなさい」強いガンバを知る藤春選手がサポーターに謝罪

 結局、ガンバの今シーズンは、7連敗、16位で幕を閉じた。試合後、ガンバサポーターのもとへ藤春選手が挨拶に向かう。藤春選手がまず口にしたのは「勝てなくてごめんなさい」の言葉。強いガンバ、栄光のガンバを知るからこそ、名門チームの不甲斐ない現状、もどかしい思いが、選手として責任感のある言葉になって表れた。そんな藤春選手にサポーターからのチャント(藤春選手の応援歌)が鳴り響く。涙で声を詰まらせる藤春選手。しばらくの沈黙の後、熱い思いを打ち明けた。「(サポーター方々には)本当に感謝しかない。皆さんのことが大好きです」そして、「悪いときも良いときも、ガンバのことを応援し続けてください。僕もこれからは応援したいと思うので、一緒にガンバを応援しましょう」と締めくくった。

 ピッチを後にした藤春選手は「暖かく見送っていただいて本当にありがたかった。お金を払って見に来ている人に対して、勝利を届ける、選手として100パーセントの力を出し切るのはあたりまえ。全身がつるような状況でも、(サポーターの声援が)僕の体を動かしてくれた。サッカー選手としては100パーセントの力をだしきることをこれからもやり続けていきたい」そう話すと、「ガンバはこういう順位にいてはいけないチーム。個々でいえば素晴らしい選手がいっぱいそろっている。もったいない。これから選手たちに思いをぶつけてきます」と告げて、ロッカールームに消えていった。

 今シーズンのガンバに足りなかったものがあるとすれば、「ピッチの中で100パーセントの力を出し切る、発揮し続ける」、その為のチーム作りだったかもしれない。もちろん、選手は与えられた役割を全うする中で100パーセントの力を注いで、チームに貢献しようとしている。それでも、今シーズンに限って言えば、どこか違和感を抱えながら確固たる自信を持てずに戦っている試合が多かった。だからこそ、来シーズンは選手個々が自分の強みをすべて出し切れるチーム、選手たちが持てるチカラの100パーセントを発揮し続けることができるチーム作りを期待したい。藤春選手が言うように、ガンバの中にはまだまだ光明が十分、満ち溢れている。


(MBSスポーツ解説委員 宮前 徳弘)