通常、母子手帳は妊娠がわかった時点で交付されます。ところが、佐藤さんの母親が持っていた母子手帳は、出産予定日のわずか1週間前の交付でした。また、母子手帳の中身は妊娠7か月から記載が始まっており、妊娠初期の記載はありませんでした。そして、生まれた当日のページには、菊田昇医師の直筆のサインが記されていました。
菊田昇医師は当時、妊娠7か月を過ぎてから中絶したいと駆け込んできた女性を説得し、生まれた赤ちゃんを子どもを望む夫婦に託していました。

佐藤さんが持っていた母子手帳も妊娠7か月から記載が始まっています。状況が一致していることから、この母子手帳は佐藤さんが養子であることを裏付ける証拠の一つと言えます。
佐藤晃子さん:
「産みの母親が妊娠7か月になって初めて菊田先生のもとを訪れて、そこから記載が始まったのではないかと推測できます。そのときの体重が52キロだったこと。出産に10時間かかったということ。産みの母の情報は、それしかありません」
一方で、佐藤さんは父親や親戚と顔が似ていると言われることが多かったといいます。このため「自分は本当に養子なのか」確証を得たいと思っています。
出生証明書の偽造
しかし、それを妨げていることがあります。