養子として迎えた子どもと夫婦が実の親子関係を結べる「特別養子縁組制度」運用開始から35年が過ぎましたが、ある一人の女性の告白から制度創設の影の一面が浮き彫りとなりました。
特別養子縁組制度とは
1988年に運用が始まった「特別養子縁組制度」は、子どもを望む夫婦が様々な事情を抱えた親元から子どもを迎え入れ、我が子として育てていくものです。「普通養子縁組」と異なるのは、迎えた子どもと法律上も「実の親子」になれるということです。
制度創設のきっかけを作ったのが、宮城県石巻市の菊田昇医師(1926年~1991年)でした。菊田医師はまだ制度がなかった50年以上前から予期せぬ妊娠で生まれた赤ちゃんを、子どもを望む夫婦に託す「あっせん行為」を密かに行っていました。1973年に自らの行為を新聞紙上で告白して法整備の必要性を訴え、制度創設のきっかけをつくりました。

菊田医師は制度ができる前に200人以上の赤ちゃんをあっせんしていたと言われています。そのうちの1人の女性が、今回初めて心境を明かしてくれました。
自分の生い立ちが知りたい
石巻市に住む佐藤晃子さん。自身の生い立ちについて情報提供を呼びかけたいと今回の取材に応じてくれました。