23日、富山県富山市の神社でさい銭を盗もうとした男を宮司が見つけました。しかし、宮司は警察に”通報せず”、男をそのまま家に帰しました。いったいなぜ…宮司の思いとは。

23日午後2時すぎ、富山市の奥田神社に設置された防犯カメラの映像。1人の男がさい銭箱へ近づきます。
手には2本の傘。男はさい銭箱を覗き込むと、中に傘を突っ込みました。”さい銭泥棒”です。

奥田神社 二宮啓宮司:「もう明らかに普通の参拝者と違って、2本の傘でさい銭の中をつついていた」
その後、男は一旦、さい銭箱から傘をぬくと、手を合わせ二礼二拍手一礼。なんと”お参り”をしたのです。泥棒をする前に何を考えたのでしょうか。続いて、別のさい銭箱をひっくり返しますが、中身は空だったようです。
そして、犯行開始から3分後、防犯カメラで男の様子を確認していた宮司が男の前に現れます。
奥田神社 二宮啓宮司:「(男は)最初は盗っていないって言っていたが、防犯カメラ見てくださいね。これ明らかにさい銭を盗ろうとしたよねって」

男は50代で、高齢の母親と2人暮らし。これまで神社に十数回は訪れていたといい、通いなれていたはずですが…
細橋雄太記者:「この神社の駐車場は境内の横にありますが、さい銭泥棒は200メートル離れた場所に車を停めていたということです」

奥田神社 二宮啓宮司:「うちの駐車場に車を停めればお参りがすぐできるけど、よそに停めてきたことは、最初から犯行の意図があったのではないか」
男は神社の周辺に設置された防犯カメラを気にしてか、わざわざ遠くの別の建物の駐車場に車を停めていたのです。

警察庁のまとめによりますと、さい銭が盗まれる事件は過去10年でやや減少傾向に。神社での防犯対策が進んできた影響とみられていますが、近年の高齢化や神社での人手不足の影響もあり、”さい銭泥棒に気づけていないのではないか”とも指摘されています。
富山県内でも10月、富山市水橋地区の複数の神社でさい銭が盗まれるなど、被害が絶えません。
