衰えを見せない物価上昇が、消費者を強烈な節約モードに変えてしまい、デフレ脱却の最後の壁が突き崩せなくなるというリスクが出て来たように思います。
10月消費者物価は再加速
24日発表された10月の全国の消費者物価指数は、生鮮食品を除いた総合指数が前年同月比で2.9%の上昇で、9月の2.8%から拡大しました。
上昇率の拡大は4か月ぶりのことです。政府による電気・ガスへの補助が半減したことが最大の要因ですが、食料品は7.6%上昇と依然、高止まりしたままです。
値上げの動きがモノより遅れたサービスについても、10月は前年同月比で2.1%と上昇幅を広げました。4か月連続で物価目標である2%を上回りました。
インバウンドの活性化で宿泊料が42.6%も上がったことなどが要因ですが、人手不足と賃金上昇を反映して、価格上昇はサービス分野全般に広がりを見せ始めています。
実際は2%どころか、4%の物価上昇だ
こうしてみるとデフレ脱却のモメンタムが強まっているようにも見えますが、その逆の心配も出てきました。
実質賃金の下落が18か月連続で、賃金が物価に追いついていない状態が長く続いているからです。
賃金上昇が遅れるとしても、賃金に比べて物価の上がり方が大きすぎるという問題も明白です。
10月の消費者物価でも、日銀が重視する生鮮食品とエネルギーを除いた日本版コアコア指数は4.0%もの上昇です。
この指数は23年4月からずっと4%以上で推移していて、物価は目標とする2%をとっくに超えて、すでに4%上昇なのです。
これでは23年の春闘で3%台後半の賃上げを実現した優良企業の従業員でもついていけません。