「チェチェンというのはロシア憲法が通じない国」

チェチェン共和国では1999年反体制グループが隣のタゲスタンに侵攻。独立を宣言した。首相時代のプーチン氏はこれを制圧したことで大統領への足掛かりにしたといわれている。だが実際は、イスラム教徒が96%を占めるチェチェン共和国はプーチン氏に制圧できる国ではなかった。チェチェン共和国はウクライナ戦争でも強力な私兵を率いて勇猛さをアピールするカディロフ首長が治める国だ。つまりプーチン氏はこのカディロフ氏と上手に付き合ってきたことでチェチェンを統治してきたといえる。現在重病説もささやかれるカディロフ氏。もしもの場合プーチン氏にとっても大きな問題となる。

元NHK モスクワ支局長 ジャーナリスト 石川一洋氏
チェチェンというのはロシア憲法が通じない国。カディロフの全くの独裁。ロシアと繋がっているのはプーチンとカディロフとが繋がってるからだけなんです。極端に言えばですね。(中略)さらに数万という私兵を持ってる。逆に言えばこれが寝返ったらどうするんですか…。実はロシアの軍はカディロフが好きじゃない。もしカディロフに何かあったら、あるいはプーチンに何かあったらチェチェンがロシアにとどまるのか…」

朝日新聞 駒木明義 論説委員
「プーチンが圧倒的権力をカディロフに持たせてしまった。事実上の独立国ですよ。しかも統治の原理にイスラム教を標榜している。だから今チェチェン行くとお酒売ってないです。イスラムの教義ですから。カディロフは今回完全にパレスチナ支持。イスラエルをテロ国家とまで言っている。その点でもプーチンは気を使わなきゃならない。問題は(チェチェン紛争の時)カディロフが追い出した亡命政権のチェチェン人が今パレスチナ支持。本来は敵同士のはずが、イスラムという点で一致してしまう。もしカディロフかプーチンに何かあればチェチェン人の共通のバックグラウンドで結び付く可能性がある。ということでプーチンから見ると非常に危険な要素…」