北朝鮮政治に詳しい慶応義塾大学の磯崎敦仁教授に伺いました。

ーーー北朝鮮が事前に通告した予定よりも早い段階での発射、この状況をどうご覧になりますか。

磯崎教授:
はい。過去にないことですね。北朝鮮は特に中国を念頭に置きながら、国際ルールを守ってるということを示すために事前に通告した上で“衛星”を打ち上げてきていたわけですね。

ですから当然この24時以降に打ち上げられると各国が警戒する中で、今日打ち上げに踏み切ったということであれば、それはルールに反してやってきたということですね。

ーーーその国際ルールをあえて守らずに発射を早めてきた理由はどんなことが考えられそうですか。

磯崎教授:
もしこれが予告していた軍事偵察衛星ならばという前提に基づくわけですけども、北朝鮮としては、気象条件など様々な環境条件をもとに、やはり最高指導者が重要な決定を下す国ですから、何らかの齟齬があったといいますか、我々の想定外のことが起きたということなんでしょうね。ちょっと前例のないことです。

ーーー通告を破ったという形になったわけで、国際的にはどういった反応が寄せられることになりそうでしょうか

この「通告」をしていようが、していまいが、今の日本・アメリカ・韓国、日米韓の政府は北朝鮮が弾道ミサイルの技術を使った打ち上げについてはいずれも反対をしてきたわけですから、日米韓には影響がないということになる。変わりがないということです、影響がないというよりも。

中国側は北朝鮮に対して「国際ルールを守れ」ということをさんざん言ってきた中で、なぜ通告をしたのに、それ以外の時間に打ち上げたのかということを疑問視せざるを得ないと思います。

これが北朝鮮が予告していた軍事偵察衛星の打ち上げということであれば、どういうわけか打ち上げ予定時刻からかなり早い、予定時刻から外れた初めて前例のない打ち上げの仕方ということになったわけで、狙いを注意深く見ていく必要がある。

北朝鮮は「通常のミサイル発射実験」、これは当然予告なしで実験をしたり訓練をしたりするわけですが、それと「事前に周辺国に通告をする“衛星”の打ち上げ」、今回は軍事上の軍事偵察衛星の打ち上げ、こういったものを区別してやってきた。

わざわざ北朝鮮は、周辺国に、打ち上げの時かなり詳細に通告していたにもかかわらず、そこから外れた理由は何なのかというものは、もう少し時間が経ってみないとわからないように思います。