例年よりも早く梅雨が明け、本格的な夏を迎えています。7月に入ると学校は夏休みになり、キャンプや海水浴といった夏のレジャーに触れる機会が増えます。トラブルも増えますが、すでに2022年に入り、山での遭難、海や川で水難事故が相次ぎ、多くの命が失われています。

4年前の夏、山口県で行方不明になった男児をその日の捜索開始から、わずか18分で発見して、スーパーボランティアとして時の人となった尾畠春夫さん(82)。今も大分県日出町に住み、別府湾に漂着するプラスチックゴミを集めたり、別府市の背後地にある由布岳の登山道の整備にあたったりとこれまでと何も変わらない日常を送っています。「体験したことに勝るものはない」自然と向き合ってきた尾畠さんが、事あるごとに口にする言葉です。そこで、尾畠さんに夏のレジャーから身を守るため、実践で蓄えた体験的アドバイスをしてもらいました。
処分のため消波ブロックの間にたまったペットボトルや空き缶を集める(別府湾)

■登山は家を出た時から始まっている


――尾畠さんは北海道の山々を合わせて22回、北アルプスは全て、九州もほとんどの山を踏破しています。登山にあたってどういう心がけが大切でしょうか?

「登山は家の玄関を出た時にすでに始まり、玄関を入った時に終わるという心構えが大切です。すばらしい景色が見られるから楽しいし、うずうずして待ち遠しいということもわかるが、緊張感もあわせ持っていなければいけません。というのも、日本には四季があり、新緑であふれたり、紅葉したり、雪が降ったりして山は表情を変えます。一度登ったことがある山だからと侮ると慢心が生まれ、トラブルにつながります」

そして、いよいよ登山という時は、尾畠さんは屈伸運動や柔軟体操を勧めます。体をほぐすと、けがをしにくいし、担いだ荷物の重さが下半身に負荷をかけますが、それも比較的楽になるということです。

それから、登山や下山の途中、単独行でもグループ行でも、歩くスピードや気象条件などから離れ離れになり遭難して、東西南北も分からなくなったら、日暮れまで比較的、時間がある時は山頂を目指して登り、絶対にふもとの方に進んではいけないと強調しました。
命の尊さを熱く語る尾畠春夫さん