「本気の挑戦を見せて誰かの力に」SNS発信で活路

Jリーグ加入を目指す以上、地域愛だけでなく、結果を残す強さも必要です。日中、市の職員や銀行員、居酒屋店員などの仕事を終え、選手たちは夜に練習をしています。アマチュアチームなので、十分な活動資金を集められず、本業を抱えながらの練習や試合は体力的にも楽ではありません。

「正直、めちゃくちゃ苦しい時もある。けど、大人が本気で夢に挑戦する姿、暑苦しくも燃える姿って、誰かに元気と勇気を与えられる。僕らはそういう姿もすべてSNSにアップして、見てもらうことにしました」

動画は、村田さんをはじめ、選手たち自身がスマホ上で編集。地道に練習や地域貢献する様子を発信し続けると多くの共感を呼び、40万回近く見られる動画も出てきました。村田さんのSNSも現役Jリーガー時代よりはるかにフォロワーが増え、企業がSNSを通してチームを知る機会が増えました。

すると「地域愛」に共感した企業から「トレーニングジムを提供したい」「ユニホームのスポンサーになりたい」という申し出が相次ぎ、通常なら、Jリーグクラブにつくような大手スポンサーが、J1リーグから数えると「8部相当」の県リーグ2部に所属するチームにつくという、うれしい誤算も起こりました。練習環境が改善され、チーム力向上につながったといいます。SNSを使った現代流の「見せ方」が資金難の壁にも突破口を開いたのです。

地元からの手厚い協力も受け、ヴィアベンテン滋賀はわずか1年で滋賀県社会人3部リーグから2部へ上がり、今季は負けなし。11月12日には、最終節で守山侍ESTILOに9-0と大勝して、2部優勝と滋賀県社会人1部リーグへの昇格を決めました。この日は三輪選手が2得点、村田さんもチームの今季を締めくくる9点目を決めるという活躍。一歩ずつ着実に、Jリーグへの階段を上っています。