「サッカーだけしてたらあかん」

村田さんは日頃から選手たちに「サッカーがうまくなるのも大切やけど、サッカーだけしてたらあかん。ジャンルを越えて滋賀県を元気にしよう」と伝えています。先日はユニフォームを着て座禅を体験し、地域の歴史資産でもある寺をSNS発信しました。

2022年5月から始まった「しがのわプロジェクト」夢授業では、滋賀県内の学校をめぐり、村田さんは1年半で約1万4,000人の子供たちに「夢を持つことの大切さ」を伝えたといいます。

「滋賀県って人口140万人ぐらいなんですよ。その人口の中で、サッカーが好きな人を数えると限られてしまう。僕らは枠を越えて、県民全員に夢を与えられるようになりたい。Jリーグ創成期には、ヴェルディの選手がファッションショーにも出て、ファッション界をリードしていたと聞きました。僕らはまだプロでもないし、普通のお兄さんだけど、地域を盛り上げるためにできる事はたくさんあると気づいたんです」。

彼らには、滋賀県の教育界や観光業界も熱視線を送っているそうです。最近では、大津市の観光船案内人や日野町スタンプラリーの大使といった仕事も舞い込んできました。

村田さんが追いかける夢は「サッカーチームの監督」の枠を超えています。自分のことを「ピンクのお兄さん」と呼ぶ理由は、サッカーを通して街づくり、地域の文化づくりにも貢献したいという決意の表れでもあるのです。Jリーグの背中は、まだ遥か遠い。それでも、村田さんと選手たちは、“その日”までのプロセスも楽しみながら、滋賀県に元気を広げています。
(SBSアナウンサー 牧野克彦)