宝塚歌劇団の劇団員が死亡した問題で、歌劇団が設置していた外部の弁護士による調査チームの調査報告書を公表する記者会見が行われました。会見では、劇団内でのハラスメントやいじめの事実は確認できなかったと明かしました。そして、これを受けて遺族側も会見を開いています。
(宝塚歌劇団 木場健之理事長)「謹んで哀悼の意を表しますとともに、ご遺族には大切なご家族を守れなかったこと、心より深くおわび申し上げます。今後もご遺族のみなさまに誠心誠意対応する所存でございます。また、ファンや関係者に多大なる心配とご迷惑をかけていますこと、深くおわび申し上げます。誠に申し訳ございません」
11月14日午後4時、宝塚歌劇団が開いた会見で冒頭、木場健之理事長らが謝罪しました。
(遺族のコメントを代読する井上耕史弁護士 11月10日)「どんなつらいことがあっても舞台に立っている時は忘れられる、と娘は言っていました。けれど、それを上回るつらさは忘れられる量をはるかに超えていました」
今年9月、宝塚歌劇団の「宙組」に所属していた25歳の女性が、宝塚市の自宅マンション敷地内で自ら命を絶ちました。
遺族側の弁護士は自殺の原因について、「過重労働」と「上級生からのパワハラ」があったと主張。遺族側が作成した労働時間集計表によりますと、女性は亡くなる直前まで休みなく朝から深夜まで働いていたことがわかります。時間外労働は277時間35分で、過労死ラインとされる「単月100時間」を遥かに上回っていました。
さらに、女性は上級生からヘアアイロンを額に当てられてやけどを負ったり、「うそつき野郎」「下級生の失敗はすべてあんたのせい」などと暴言を受けていたりしたといいます。
今回の事態を受けて歌劇団側は10月に外部の弁護士による調査チームを設置して団員から聞き取りなどを行っていて、11月14日にその調査報告書が公表されました。
(宝塚歌劇団 木場健之理事長)「劇団としては、特に稽古終盤の過密なスケジュールをこなしながら、新人公演の稽古も予定される中で、長の期(下級生の指導)としての役割に娘役2人のみであたったことが故人に大きな負担になったと判断しています。そのような状況や問題を劇団側が十分に把握できていなかったことについて責任を痛感しています」
劇団側は過重労働があったと認め、「劇団の中で起きた以上、健康面の配慮をすべきだった。深く反省している」と述べました。一方、上級生によるハラスメントについては「あくまで指導の一環でハラスメントの事実はなかった」と話しました。
(宝塚歌劇団 木場健之理事長)「故人に対するいじめやハラスメントは確認できなかったとされており、例えば『うそつき野郎』『やる気がない』といった発言の有無についてはすべて伝聞情報であり、実際にそのような発言があったことは確認されておりません。ただ、『うそをついていないかと何度も聞いていた』という状況は確認できており、過密なスケジュールにより追い詰められていった状況の中で、上級生から下級生への指導が公演を安全に努める上で必要だったとはいえ、それらが時間的に近接・重複して起きたことで故人にとって大きな心理的に負担になったことが十分に考えられます」
こうした歌劇団側の調査報告について、遺族側の弁護士が同日に会見を開きました。
(遺族代理人 川人博弁護士)「ハラスメントの問題に関しては、報告書では存在に関して否定的な評価です。これは間違いであると、それが遺族からの見解です。これらの部分については遺族側は納得することはできず、劇団側が調査報告書の内容の認定を前提とせずに、事実関係を再度検証し直すべきだと考えます。上級生のパワハラ行為を認定しないのは、一時代前・二時代前の価値観による思考と言わざるをえません。(ヘアアイロンで)これだけのけがを下級生にさせたのだから、そのことに関して深く謝罪すべきなのに、何一つ謝罪を行っていません」
遺族側は報告書に関する意見書を劇団に提出して、劇団・阪急側との面談交渉を11月末までに行う予定だということです。
一方、歌劇団側はこうした責任をとって、木場理事長が12月1日をもって理事長職を辞任するとともに、年間興行数を減らして過密な公演スケジュールを見直すなどの対応策を行うと発表しました。
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