朝から晩まで働いていた母・ミヨシさん。
そんな母親を、ひとみさんは言葉に出さずとも、大切に思っていたそうです。

曽我ひとみさんを抱く母・ミヨシさん

「いつも母が帰って来るころになると、外でずっと待っていたものです。
 ある日、普通なら(夜の)6時ごろに帰ってくる母が、7時になっても8時になっても帰ってこなかったのです。何かあったんだろうか。病気?事故?それとも、仕事?心の中は不安でいっぱいだった。9時を過ぎ帰ってきた母に、『どうして遅かったの』と泣きながら怒ったこともありました。

 思い出すと涙が出るのはなぜだろう。小さいころは一緒に行けないと大声を出して泣いたことも数えきれないくらいありました。大きくなり、看護学院に入学したときも家から離れたいような離れたくないような、複雑な気持ちでした。
 准看護師の試験の3か月くらい前から、雨の日も雪の日も、毎日お宮参りをして合格を願ってくれていた母の優しい心を今とても嬉しく有難く思っています」

「週一回家に帰ると、毎回けんかをして寮に戻ることがほとんどでした。なぜけんかをするんだろう。自分でも分からない。心の中ではあれもしてあげたい、これもやってあげたいと思っていても、なにか『やってくれ』と言われると、『なんでそんなこと私がしなきゃいけないの。自分でやればいいんね』と、なぜか素直にいいよと言えず、わけもなく母を悲しませるようなことをしてしまうんだろうと自分を責めている今の私です」