国連が定めた17つの目標のうち、今回取り上げるのは「人や国の不平等をなくそう」。「すべての人に星空を見せたい」と、移動式のプラネタリウムを運営する団体と、そこに携わる障害児の家族を取材しました。
満点の星空。このプラネタリウムには特徴が…。立って見たり、寝そべって見たり、車いすで見たり、どんなスタイルでもOK。静かに鑑賞しないといけない通常のプラネタリウムと違って、声を出しても良いのです。
「天の川銀河の私たちは、中心からだいぶ離れたとっても田舎のところにいるんですね」
この移動式プラネタリウムを運営しているのは、山梨県にある団体「星つむぎの村」。入院生活を送るなど、本物の星空を見ることが難しい人たちに「星空の素晴らしさを知って欲しい」と、プラネタリウムを全国の病院などに持ち込んで上映しています。
訪れた人は…。
障害のある子どもの親
「奇声を発してしまったり、『あー』とか叫んだり、泣いちゃったりとか、それが『OKだよ』と言われると、すごくありがたい」
プラネタリウムを体験した人
「段差とかない状態で、みんなプラネタリウムに参加することができたので画期的だなと、正直思った」
4年前にこのプラネタリウムを体験した藤田優子さん。重い障害のある7歳の長男・一樹くんの母親です。
藤田優子さん
「寝っ転がって星を見ることに関しては、私と一樹の間に何の境界線もなくて、広い大きなスケールの中で、歩けないとか病気があるとか、そんなことはすごくちっぽけなことに思えて。一樹が生まれてきた意味というか、今、一緒に生きている意味が初めて自分の内側から肯定できた」
障害の有る無しで生じる境界線が「取り払われた」と感じた藤田さん。その後も団体の活動に触れ「今度は自分が誰かの背中を押したい」と、団体のメンバーとなって星空を届けるようになりました。
週末の午前6時。藤田さん夫婦は、この日行われる上映会の練習に励んでいました。
藤田優子さん
「午前2時くらいまで、さっきみたいなことをやって、もう眠たくて午前4時半に起きました。いつも時間ないので、直前に(練習を)やっています」
家族みんなで協力して、急いで朝食を済ませます。
藤田優子さん
「お星様届けに行くよ、手伝ってよ」
藤田さん家族が向かった先は横浜市のイベント会場。ここでプラネタリウムを上映します。
「夜ってとっても素敵な時間、夜にしか見えないもの、それがお星様です」
ナレーションを任された藤田さん。25分ほどの上映会の最後、こんな言葉を参加者に送りました。
「遠く遠く、宇宙の果てから地球を眺めたとき、私たち一人一人の違いはとても小さくて、そんな私たち一人一人ができること、その力もとても小さいものかもしれません。だからこそ、みんなで手を繋いで一緒に大きな温かい物語、作っていきたいですね。皆さんにとっての明日が今日よりちょっと素敵な1日になりますように」
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