「供託金」最大100億円 教団にとってどんな金額?

藤森祥平キャスター:
7日の会見では教団側から「供託金」の提案がありました。被害を訴える元信者らの補償のための原資として最大で100億円を国に預けるということです。

教団に対しては国会で財産保全について議論されています。立憲民主党の法案では裁判所が財産の管理や保全を命じることができるとしていて、教団はお金を自由に動かすことができなくなります。

これに対し、教団が提案した供託金は教団の資産の一部を国に渡すというものです。そもそも国には受け取る制度がないため、法整備をしてはどうかという提案までありました。

ジャーナリスト 鈴木エイトさん:
ただこれ(教団の提案)は、教団が韓国にお金を自由に移動できてしまう。

(国会で議論されている)財産保全の法整備がされることで教団は自由にお金を動かせなくなり、仮差し押さえのような形になります。

教団の10年くらい前の内部資料を見ると、年間400億から500億円程度ある収入の約半額、200億円から300億円を毎年韓国に送っています。この送金がストップすると韓国の教団本部の存続の危機になるため、韓国の教団本部の顔色をうかがって、供託金という形で財産保全を逃れようとしているのではないかとみています。

慶應大学医学部教授 データサイエンティスト 宮田裕章さん:
今回、供託金という提案をすることで、別の法律を作らせる立法リソースを割かせて、その間に教団がお金を移動することも考えられます。今、立法に求められているのはスピーディーな財産保全の法整備なのではないかということが明らかになったと思います。

小川キャスター:
もるすこさんには供託金の提案はどう映りますか。

旧統一教会2世・元信者 もるすこさん(仮名・30代):
明らかに今までの教団の反応とは違うなという感覚を持ちました。救済法や質問権の行使、10月に出た解散命令請求、これまでは教団側は常に対決姿勢だったと思います。財産保全が焦点になった今、突然態度を変えてきたと思います。

100億円の供託金を払うと言っていますが、財産保全のために現在保有している土地、建物、預金などを調査されることを嫌がっているのではないかと感じます。

小川キャスター:
最大100億円という金額の提示についてはどうお考えですか。

旧統一教会2世・元信者 もるすこさん(仮名・30代):
100億円では全然足りないです。集団訴訟は39億円、教団に対する返金要求は44億円ということですが、これは氷山の一角です。私も兄弟で親に1000万円を渡しましたが、私達は請求することができません。たくさんの2世の被害が泣き寝入り状態になっています。

【全国統一教会被害対策弁護団への依頼(現状)】
被害者:130人以上
被害総額:40億円超
潜在的被害は1200億円(資産)

小川キャスター:
教団の年間の収入資産はどのくらいあるものですか。

ジャーナリスト 鈴木エイトさん:
教団内部資料を見ると、100億円というのは教団の年間の収入の4分の1から5分の1程度です。近年は少し減っていると言われているが、教団にとってはそれほど痛い金額ではありません。

小川キャスター:
宮田さんは会見をどう見ましたか。

慶應大学医学部教授 宮田裕章さん:
100億円という金額が出たので、一瞬何かが変わるのかなという雰囲気がありましたが、全くそういうことではありません。

謝罪、補償をするにも被害者が誰かを認めていないので、100億円というお金が“被害者”たちに届かない可能性があります。逆に教団内部で資金が循環するだけの可能性もあります。苦しい状況の中、教団としては財産保全を防ぐための悪手なのかなと思います。