
ドラフト指名の瞬間、滝田投手の目にはあふれるものがありました。その背景には1人で育ててくれた、今は亡き母の存在がありました。
滝田一希 投手
「自分たちきょうだいを立派にさせたいというのを聞いたので、本当にいい母親でしたね」
ドラフト指名の瞬間、喜びとともにあふれた感情は、女手一つで育ててくれた、今は亡き母への感謝でした。

滝田投手は6人きょうだいの5番目。滝田投手が6歳のころから母1人で子どもたちを育ててきました。

滝田一希 投手
「朝5時から夜中の1時過ぎまでほぼ毎日のように働いていて、でも、それでも弱音を言っていなかったので。『プロを目指そう』って、ずっと母とそういう話をしていたので。いろんな欲しいものを言っていましたね。車とかもそうですし…。『契約金、全部もらう』とかも言っていたので(笑)」

誰よりも母・美智子さんが応援していたプロ野球選手の夢…。着実に力をつけ、リーグの開幕投手を務めるなど、プロへの階段を少しずつ歩み始めた大学3年生の春、53歳の母との突然の別れが…
滝田一希 投手
「練習から帰ってきて、姉から電話がかかってきて、けっこうあせっていたので何かなと思ったら、母が倒れたって聞いて。でも、自分の中ではまだ生きているからだいじょうぶだと思いながら。会うまでわからないから、まず会おうと思って。地元の診療所に行って、母を見た瞬間、本当にくやしい感情とか、いろいろな感情が自分に対してこみ上げてきて…」
母が亡くなり、一時は野球をやる意味さえ見失ってしまった滝田投手。再び、その闘志に火を灯してくれたのは、野球部・二宮至 監督の言葉でした。