3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表監督を務めた栗山英樹(62)が音楽やスポーツなどの分野において、その発展に取り組む人を年に一度、表彰する「服部真二賞」の第6回授賞式に出席し、「服部真二賞 特別賞」が贈られた。受賞後、独占インタビューでは優勝に導いたWBCからおよそ半年たっての胸中と今後の活動について語った。

WBCのことは、頭の中にほとんどない
先月、井端和弘(48)が日本代表監督に就任。新生侍ジャパンを率いる井端監督と話した事を聞いた。
「新たな監督の下で戦うというのは、前を引きずってはいけないところもあるので、僕は余計なことを言ってはいけないと思います。それよりも、とにかく野球というスポーツの良さを一人でも多くの人に見てもらう、感じてもらえたら嬉しい」
そして、飽くなき情熱でこれから取り組む事を語った。
「次のことに100パーセント向かっているので、(WBCのことは)頭の中にほとんどない。次に自分がやらなければいけないことが、はっきりみえてきていて、そこに向かって準備しているし、考えています」
「大谷翔平みたいな選手を」
2022年シーズンから日本ハムの選手育成を担う「プロフェッサー」という役職を務めている栗山氏は次なる目標へとスタートを切っていた。
「本当に1回落ち着いて野球をみていると、野球をやる環境とかすごく少なくなってて、難しくなっていたり、お金が掛かったりもする。子供たちが野球をやることができるのかなっというものだったり、それからプロ野球を観ていて日本らしい美しいというか、きれいな野球になっていくためにそういう選手を発掘して、大谷翔平みたいな選手を日本で生み出せるような環境というのをつくっていかなきゃいけないのだろうなと、思っています」
プロ野球界のみならず、子どもたちが野球をできる環境を整えたいという思いも抱いた。そして、5年後のロサンゼルスオリンピックも重要だ。
「野球界にとって、それをどういう風な大会にするのか、みんなが野球に注目してくれるっていう(機会)が生まれたってことがとっても素晴らしいことだし、本当にありがたいことなんですね。それを本当に一生懸命に生かしていくことに、しなければいけないのかなと思いますね」
10年間、日本ハムでの監督業で学んだ若手選手との向き合い方や大谷選手と二刀流を作り上げてきた経験も伝承していく。
「全てに対して正しいっていうことはあまりないので、一人一人の状況において、今、一人一人の選手に何が必要なのか。一般的にこうだということよりも、個々の選手に対して自分はどう考えたらいいのか、そういったものをチームの中にも残していかなきゃいけないなと思います」
と、若手選手という大きな枠組みや見方ではなく、選手一人一人、個人と真正面から向き合うことを大切にする。
日本ハムでは日本一、WBCでは世界一に導いたその手腕をいかにして次世代のために振るうのか、注目したい。
■栗山英樹(くりやま・ひでき)
1961年4月26日生まれ、東京都出身。創価高→東京学芸大→1983年ドラフト外でプロ野球ヤクルト入団。好守、巧打の外野手として人気を集めた。1989年ゴールデン・グラブ賞(外野手)を獲得。引退後はスポーツキャスター、野球解説者として活躍。2012年シーズンより日本ハム監督に就任。初年度の2012年にリーグ優勝、2016年にはリーグ優勝と日本一に導く。2013年ドラフトで大谷翔平選手獲得と二刀流選手としての育成を提案し、スーパースターへと開花させた。10年目の2021年で監督退任後、その年の12月から日本代表監督に就任。2023年3月の第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では侍ジャパンを3大会ぶりの世界一へ導いた。2023年5月、代表監督を任期満了で退任した。
■【侍ジャパン試合日程】
第2回アジアプロ野球チャンピオンシップ2023(11月16~19日、東京ドーム)
11月16日(木) 台湾対日本
11月17日(金) 日本対韓国
11月18日(土) オーストラリア対日本
11月19日(日) 3位決定戦 or 決勝