【須磨翔風-耐久】
準々決勝最後は、前日に延長10回タイブレークの末に智辯学園に逆転勝ちした兵庫の須磨翔風と、社との激戦を制した和歌山の耐久の新旧公立校対決。両チームとも前日の疲れが残る中、大黒柱のエースが先発。両チーム1回に1点ずつを取り合って、5回に試合が動きます。
5回表、耐久は、須磨翔風の先発・槙野遥斗投手から2本のヒットで1アウト1塁3塁のチャンスを作ります。しかし、この試合まで幾度となくピンチを切り抜けてきた槙野投手。この場面も粘る2番の赤山侑斗選手を三振、続く澤剣太郎選手もセカンドゴロに打ちとって、ピンチ脱出かと思われました。ところが、この打球をセカンドが痛恨のファンブル。バットの先端に当たって複雑な回転がかかっていた一打、思わぬ形で耐久が勝ち越します。

この1点で、さらに集中力があがった耐久先発の冷水孝輔投手。「勝ち越してからは落ち着いて投げようと思っていた」というように、疲れが見える中でも丁寧なピッチングで須磨翔風に反撃を許しません。
すると打線は8回、再び須磨翔風の守備の乱れから1アウト満塁のチャンスをつくると、6番の川合晶翔選手がライトへの犠牲フライ、さらに7番の中啓隆選手がレフト線へタイムリーツーベースヒット。4対1とリードをひろげます。
「(苦しい場面でも)踏ん張ることができたのは、(昨年から)いろいろ経験させていただいたおかげ。先輩たちに感謝したい」と話した冷水投手。最後まで須磨翔風に決定打を許さず、このリードを守り抜きました。

1852年創立(1905年創部)で初めての甲子園がぐっと近づいた秋の近畿大会でのベスト4進出。チームを率いる井原正善監督は「夢のようです。先輩から受け継いできたことがやっと花開いてよかった」と感慨深げに振り返りました。
【近畿大会準々決勝(結果)】
大阪桐蔭(大阪1位) 4-3 報徳学園(兵庫1位)
京都国際(京都2位) 1-0 近江(滋賀1位)
京都外大西(京都1位)10―7履正社(大阪2位)
耐久(和歌山1位) 4-1 須磨翔風(兵庫2位)