風力発電を使った“水素”で 温室効果ガス排出量ゼロへ

記者
「こちらのウイスキーの蒸留所では、あの巨大な風車を使って、水素エネルギーを生み出すというのです」

水素を作るために必要な電力は風車を回すことによって作られます。その電力で、水を電気分解し、水素を作ります。水素は長期間、大量に貯蔵することが可能なため、風力のような不安定なエネルギーを蓄えることに向いています。

また、およそ8平方キロメートルの農場ではウイスキーのほか、ウォッカやジンの材料となるジャガイモやエンドウ豆なども生産。生産工程で可能な限り温室効果ガスの排出量を削減しています。

この蒸留所は先進的な計画が評価され、おととし、イギリス政府から300万ポンド(約5億4500万円)の助成金を獲得。必要な設備を建設中で、早ければ年内にも稼働させる予定です。ただ、課題は設備の導入や維持に費用がかかることです。

アービキー蒸留所 共同経営者 ジョン・スターリングさん
「私たちが他の蒸留所の模範になればと思っています。ただ、事業の継続には商品を買ってくれる消費者やイノベーションを可能にする政府の支援が必要です」

スコッチウイスキーの業界団体は、“2040年までに業界全体で温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標”を掲げています。水素で作るスコッチウイスキー。広まるカギとなるのは消費者の理解のようです。