■ウクライナは今後、朝鮮半島のように…?
世論が政権を左右するという民主主義国家のある種の“脆さ”を見透かして、ロシアはあの手この手で西側諸国にくさびを打とうとしているようだ。
だが、BRICSや西側への世論操作を通じてロシアが仕掛けるウクライナへの停戦圧力に、ウクライナが応じることはないと、小谷氏は言う。では今後、どんな展開が待ち受けているのだろうか。
明海大学 小谷教授:
「ロシアとしては最低限東部2州と、南部ヘルソン、これを抑えた上でウクライナに停戦を迫るということになると思う。これはウクライナとしては受け入れられないものなので、停戦に応じることはないだろう。
今、アメリカで言われ始めているのは、朝鮮半島のようなかたちでウクライナが分断された状態、休戦をした状態で小競り合いが続くような状態が長期間続くのではないかということだ。完全に終戦協定を結ぶことは出来ず、停戦はするけど小競り合いは続く。そういう状況が長年続くのではないかと見られている」
ウクライナ侵攻から4か月。物価高騰などを背景に、西側諸国にはウクライナ支援に対する疲れも見える。果たして結束をしていくことができるのか、そのためのポイントは何なのだろうか―
朝日新聞 駒木論説委員:
「プーチン大統領はまさにウクライナ疲れを狙っている、アメリカの中間選挙で共和党が勝てば風向きは変わってくるだろう、大統領選はどうなるだろうと、長いスパンで観ている。しかし、BRICSの加盟国もロシアのやったことに必ずしも共感していない。そういうところに同じ価値観を広めていくことは大事だと思う」
明海大学 小谷教授:
「今ここで中途半端にウクライナ支援をやめて、ロシアの思い通りにしてしまうと、そのあと更にヨーロッパでロシアが勢力を拡大しようとする。或いはそれによって中国が台湾を侵攻しやすくなるという環境が生まれる。この先より広い観点でウクライナ情勢をみる、それを今度のNATO首脳会議で議論するべきだと思う」
防衛省防衛研究所 兵頭政策研究部長:
「一番重要なことは、分断の隙をロシアに与えないことだ。欧米はしっかりと結束を維持する必要があるし、我々はウクライナ侵略の原点をもう一度確認する必要があるのではないかと思う」
(BS―TBS『報道1930』6月23日放送より)