福島第一原発の事故をうけて新潟に避難してきた人たちが、国と東京電力に対して損害賠償を求めていた裁判の控訴審が27日に結審し、一部の原告が東電と和解する方向で調整していることを弁護側が明らかにしました。

【記者リポート】
「新潟地裁の判決からおよそ2年。提訴してからおよそ10年の月日が経ちました。東京高裁に舞台を移した控訴審が結審を迎えます…」

この裁判は、福島第一原発の事故により福島県から新潟県内に避難した住民らおよそ800人が、国と東京電力に対して1人あたり1100万円、総額88億円余りの損害賠償を求めていたものです。

おととしの新潟地裁での一審判決では国の責任を認めず、損害賠償は一部の原告のみの1億8000万円余りにとどまり、800人のうちおよそ790人の原告と東電との双方が控訴していました。

控訴審で、原告は国の責任を認め1人当たり300万円の賠償の上乗せを求めるとともに、避難区域の中と外で賠償の差があるのはおかしいと訴えました。
一方で東京電力は「自主的な賠償で十分だ」と主張し、国は「法的責任がない」と主張していたということです。

また、27日の結審をうけて、裁判所からの提案で一部の原告が和解を検討していることを原告側が明らかにしました。

【原告側 二宮淳悟弁護士】
「結審後も、和解の協議のテーブルで協議が続くことになります」

和解は「国への訴えを取り下げること」などが条件となっていることから、原告と慎重に協議を進めていくとしています。