「私は永久に市民運動家だから」…菅直人氏の考える“政治家の引き際”

民主党が政権交代を果たした2009年9月の特別国会召集日、筆者は国会の廊下を菅直人氏と肩を並べて歩いていた。その時の菅氏の言葉が印象的だった。

「俺、今でも夢見てるんじゃないかと思うんだ。それで頬っぺたつねってみたら痛いから、ああ本当に政権交代したんだなという実感が湧いてきたよ」

あの日から14年余り。短命に終わった民主党政権では1年3か月にわたって総理大臣も務めたが、福島第一原発事故への対応をめぐり称賛と批判の両方が今もくすぶり続ける。

「原発事故のことはやっぱり一番気になっているよね。原発を復活させようという動きは経産省にも電力会社にもあるからね。太陽光とか風力とかクリーンな再生エネルギーで十分やれることがわかってきたから、今さらコストもリスクも高い原発に戻るべきではないというのは、特に事故を経験した総理として極めて強い信念だよね」

議員としての残り任期、そして議員を引退した後も、脱原発に逆行するような動きが出てくれば「逆行を許さない」と発言し行動していくという。

「私は市民運動的な活動の中で、極めて珍しいケースかもしれないけど総理までやらせてもらった。私は永久に市民運動家だから、原発問題に限らず、元気なうちは何かあれば今までのスタンスでやれることはやりたいと思っていますよ」

(執筆:TBSテレビ解説委員 緒方誠)