2001年の「東京都カラス対策プロジェクト」ってご存じでしょうか。当時は東京23区に4万羽近くいたとみられ「ヒトを襲う!」なんてこともしょっちゅうでした。あのカラスたちはどこに行ったのでしょう。

(アーカイブマネジメント部 疋田智)

90年代東京カラス急増の理由

バブル末期1990年代から東京のカラスは急増しました。
その原因のひとつは「半透明ゴミ袋」だと言われています。それまでの黒いビニール袋は中に何が入っているか分からず作業員の安全が確保できませんでした。そこで導入された半透明ゴミ袋だったのですが、カラスは目がいいから中身が見えるのです。

それまでは黒くて中身の見えないゴミ袋でした。

朝、カラスはゴミ収集所に群がり、ゴミ袋を引き裂き、街を汚します。
こうしてカラス被害は次第に社会問題となっていきました。

あらゆるところに、とんでもない数のカラスたちが(2001)。

本来の食物連鎖

本来のカラスは雑食性で、食物連鎖図の①②③を捕食する位置にいます。ところが、都会のカラスは「ゴミ袋の中には楽にとれるエサがある」と学んでしまいました。

とくに繁華街の生ゴミはカラスにとって「ご馳走」で、食べ物が増えて個体数が年々増加したのです。ゴミ袋を破いて中身を散らかすカラスは正直、街の迷惑モノでした。
次第にヒトを恐れなくなり、手にした鞄やレジ袋を目当てに、女性や子供を襲う例もでてきました。

カラスに襲われないように、ヘルメットをかぶって通学する児童も(2001年)。