■プリンセス駅伝(22日、福岡県宗像市・福津市 42.195キロ、6区間)

女子駅伝日本一を決めるクイーンズ駅伝(第43回全日本実業団対抗女子駅伝、11月26日・宮城県開催)の予選会であるプリンセス駅伝が行われ、前回7位の岩谷産業が初優勝を果たした。

5区で世界陸上ドーハ(19年)マラソン代表の中野円花(32)が区間トップの走りで2位の九電工に48秒の差をつけ最終区の青木奈波(28)にタスキリレー。アンカー青木はそのリードを守り切り、3年連続3回目のクイーンズ駅伝出場を決めた。

今大会は上位16チームにクイーンズ駅伝の出場権が与えられる。さらに今回は特例措置として10月15日のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)に出場した選手が在籍するチームは、順位に関係なく完走すればクイーンズ駅伝出場権を得られる。

2022年4月創部の新チーム、ベアーズ(家事代行サービスの会社)、2年ぶりの参戦となった愛媛銀行など31チームがそろったプリンセス駅伝。気温21℃、風速は3.1m/hというコンディション。

スピードランナーがそろった1区(7キロ)では、2キロ付近で三井住友海上の樺沢和佳奈(24)が先頭に出てレースを引っ張った。5キロ付近でトップ集団は13チーム、初出場のベアーズは16位と好走。残り300mで三井住友海上の樺沢がスポートをかけてトップでタスキを渡した。ベアーズは1区で13位と好スタートを切った。

2区(3.6キロ)はトップ争いは三井住友海上と岩谷産業。そして3位集団には9位でタスキを受けたユニクロの後藤夢(23)が一気に上がってきた。8月の世界陸上ブダペストでは1500mの代表、今月2日のアジア大会中国・杭州でも1500m代表だった後藤が6人抜きの3位でタスキを渡した。そして、1区で26位と出遅れていたワコールが今月15日にMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)を走った安藤友香(29)が10人抜きの好走で16位とクイーンズ出場圏内にチームをあげた。

3区(10.7キロ)の最長区間ではトップ争いが激戦、三井住友海上と岩谷産業に、ユニクロとセンコーが追いつきトップ集団は4チームとなった。6キロ付近で岩谷産業の岩井莉央(24)とユニクロの平井見季(27)が抜け出した。残り2キロ付近で岩谷産業の岩井がスパートをかけた。クイーンズ出場権16位争いは愛媛銀行、ベアーズ、しまむらと3チームが混戦ムード。3区のタスキリレーでは15位が愛媛銀行、16位がしまむら、そして、しまむらに2秒差で17位にベアーズとなった。

4区(3.8キロ)はトップでタスキを受けた岩谷産業の久木柚奈(22)が逃げ切りトップをキープ。ルートインホテルズのP.カムル(29)が6人抜きで2位まで順位をあげた。京セラのA.ムカリ(20)が11分19秒の区間新記録で8人抜き、11位まであげた。そして、15位に愛媛銀行、16位にユニバーサル、17位にしまむら、18位に埼玉医科大学グループ、19位にベアーズと15位から19位までわずか10秒差に5チームと大混戦となった。

5区(10.4キロ)、クイーンズ駅伝出場権のかかる16位以内の争いは15位でタスキリレーを行った愛媛銀行だったが4キロ付近でユニバーサル、しまむらに抜かれ2つ順位を落とした。埼玉医科大学グループ、ベアーズもスピードに乗れず差が開いていった。6.4キロでは16位でユニバーサルが通過すると22秒差の17位に愛媛銀行、23秒差の18位にダイソーとなった。トップは2019年世界陸上ドーハ大会マラソン代表の中野円花(32)がしっかりとトップを守り切った。

最終6区(6.695キロ)、アンカーに全てを託したクイーンズ駅伝出場権は16位のしまむらと17位のダイソーの差は12秒。ダイソーの加藤美咲(20)はタスキを貰うと約700mでしまむらとの差を8秒縮めた。そして、1.3キロ付近でしまむらの菊地優子(30)を逆転した。しかし、意地と意地のぶつかり合い、3.2キロ付近で一時は約5mほど差が開いたが今度はしまむらの菊地がダイソーの加藤を抜き返し、再逆転、一気に差を広げた。それでもダイソーの加藤が追い上げを見せた。しかし、16位にしまむら、そして、その4秒後にダイソーがゴール。ダイソーはわずか4秒届かず、クイーンズ駅伝の出場権を逃した。

優勝は終盤、盤石なレース展開を見せた岩谷産業が創部7年目で初優勝を果たした。25位だったワコールはMGC出場者が所属し、完走したためクイーンズ駅伝の出場を決めた。

レース後、岩谷産業の廣瀬永和監督は「うれしいですね。選手が思った以上に走ってくれて頼もしい選手たちです。5位くらいをイメージしてたんですけど」と初優勝の喜びをかみしめた。

順位を2位からトップに押し上げた3区の若井は「途中でマネージャーさんが“出ろー、莉央(りお)は強いぞー”と言われたので自信を持って走りました」と笑顔をみせた。アンカーの青木は「正直ドキドキしながら走ったんですけど、最後はトップでゴールすることができて、わたしは創部からいるんですけど、すっごく嬉しいです。クイーンズ駅伝では、クイーンズエイト(8位入賞)を目指して頑張りたい」と意気込んだ。

【プリンセス駅伝結果】※16位までクイーンズ駅伝の出場権
1位 岩谷産業
2位 ルートインホテルズ
3位 大塚製薬
4位 九電工
5位 天満屋
6位 日立
7位 ヤマダホールディングス
8位 三井住友海上
9位 ユニクロ
10位 ニトリ
11位 キヤノン
12位 スターツ
13位 センコー
14位 ユニバーサルエンターテイメント
15位 京セラ
16位 しまむら
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17位 ダイソー
25位 ワコール ★MGC出場者がいるため、特別措置でクイーンズ駅伝出場