500人超死亡「醜悪な大量虐殺」

井上貴博キャスター:
アメリカのバイデン大統領が到着する前に病院の爆撃が起きました。パレスチナ自治区ガザ地区の死者は、2808人。イスラエルの死者は約1400人です。
国連のグテーレス事務総長は「病院・医療関係者などは国際法によって、明確に保護されている」と発言し、病院に対する爆撃は、世界中から非難の声が上がっています。

パレスチナ自治区のガザに“ラファ検問所”があります。ここはイスラエル領内を通らない唯一の脱出ルートであるということで、越境したい人々が多く詰めかけています。そして、イスラエル国外から直接ガザに支援物資を入れることができるということで、物資を積んだトラックが多く詰めかけているのもラファ検問所です。人の命を守る、救出するためにも重要な場所です。
ですが、ラファ検問所が開かず、開くめどすら立っていないので、逃げ出すこともできないし、大変厳しい状況にあるガザに支援物資を送ることもできない。しかも空爆とみられる爆発も起きています。パレスチナ自治政府の内務省は「少なくとも28人が死亡した」と発表しています。

なぜ検問所を開かないのか、開いてもらえないのでしょうか。エジプトのシュクリ外相は「イスラエルが認めていない」としています。明海大学教授の小谷哲男教授は「イスラエルは市民ではなく、テロ組織ハマスに支援物資や武器がわたることを懸念して、検問所を開けないのではないか」と話しています。
国際人道法を守るように強く言えるのは「アメリカ」
ホラン千秋キャスター:
ロシアとウクライナの間でも「民間人を攻撃してはいけない」とか「病院を攻撃してはいけない」とか、一つの命も奪われてはいけないわけですが、様々なルールがある中で、そういったことが守られずに民間人がどんどん犠牲になっている。しかも子どもも含まれているということで、日に日に悲惨さが増しているように感じます。
萩谷麻衣子弁護士:
何の罪もない民間人、特に子どもたちが、こんなことで未来を奪われていくことを国際社会で止めなきゃいけないと思います。イスラエルは病院を退避するように求めていますが、病院は原則として攻撃してはいけない。退避を求めるのではなく攻撃してはいけない。国際人道法を守るように強く言えるのは「アメリカ」だと思います。
これまでイスラエルに多大な支援をしてきたアメリカが、ここで「イスラエルに過剰な防衛にならないように。自衛の範囲を超えた国際法に違反するような攻撃をしないように」と強く言えるのはアメリカなので、しっかり言ってもらいたいと思います。

井上キャスター:
世界に衝撃が走ったのが、大統領が到着する前に病院を空爆したこと。本来の予定では、イスラエルで会談を行った後に、バイデン大統領は”アラブ諸国も行きたい”と話していました。
ヨルダンで4者会談が予定されていましたが、病院の爆撃を受けて、4者会談が延期されています。今後電話で会談しようという話になっているようですが、電話での会談、そしてイスラエルのネタニヤフ首相と話す。この中で、人道支援などに向けた話し合いが、どこまで実行力を持てるのかが大きな注目点です。