500人超死亡 イスラエルは今

須賀川 拓記者:
イスラエルのテルアビブ市内は、バイデン大統領が到着した際、道がブロックされていて、大変な渋滞が起きました。一般の人たちは、防弾チョッキとか持っていませんし、普通の生活が行われています。
住民に病院の爆発について聞きました。一時「空爆」とか「爆撃」という言葉を使っていましたが、一歩引いてみる必要があると感じています。
イスラエル側のメディアは、イスラエル国防軍が発表した、ハマス側もしくはイスラム聖戦といった武装勢力によるロケット弾が誤って落ちたのではないかという話をしています。まだ様々な情報が流れているので憶測で話すのは、あまりにも危険かなと思っています。パレスチナ保健省が公開した映像では、民間人が乗っている救急車のすぐ近くで、大きな爆発が起きているのが分かります。

これはパレスチナ側の保健省が、イスラエルによる空爆だと思われる形で映像を公開しています。これも確証はないですが、こういった映像が流れると、双方の憎悪が限りなく高まってしまう。実際、ガザに落とされている爆弾は6000発以上です。その中で、ハマス側もしくはイスラム聖戦といった武装勢力が誤って打ち込んでしまったロケット弾は、非常に数が少ないです。イスラエル側の可能性が極めて高いですが、まだ断定できないです。ただ断定できない情報を基に双方の憎悪が、非常に高まってしまっているのがあります。
「復讐に価値なし」遺族 涙の訴え
こういった感情が高まっている中、イスラエルに住んでいる男性で、ハマス側に両親2人を殺害されたという男性から話を聞いてきました。

両親をハマスに殺されたイスラエル人
「復讐には価値がありません。復讐を次世代に引き継ぎたくない。戦争を止めたい」
須賀川記者:
男性は両親2人を焼き殺されています。シェルターの中に隠れているところに、家に火を放たれて殺されています。10日、11日前の出来事です。にもかかわらず「自分の両親はハマスに殺されたと言いたくない。これは何世紀にもわたる憎悪の繰り返し。そして争いによって殺されたんだ。私は戦争を止めることが最優先だ」と話していました。
そして一番印象に残っていたのが「日本人のあなたたちにぜひ話をしたい」と言ってくれました。「戦争を繰り返してきた中で、日本とアメリカの関係を見てみると、大変な戦争を乗り越えて、今は両方同じ価値観を持って前に進んでいる。だったらイスラエル人もパレスチナ人も日本とアメリカを一つの例にして、その先に進んでいくことが出来るんじゃないか。同じ価値観をいつか共有出来るんじゃないか」と話していました。
お互いの憎悪が限りなく高まっている中で、こういった声をちゃんと伝えていかなくちゃいけないなと思っています。
井上キャスター:
連日発信している憎しみの連鎖になってはならない、冷静にならなければいけないというところで、イスラエル内での報道は、どういう内容ですか。地上侵攻やむなしで突き進んでいるのか、ある程度引いて冷静に報じられているのでしょうか。

須賀川記者:
戦争当事国ということもあり、今回起きたハマスによるテロ行為が、ホロコースト以来の最悪の事態だという報じ方をされています。そして政治家もかなりエッジの効いた「今回はもう徹底的にやるしかないんだ。ハマスを完全に武装解除するしかないんだ」というトーンが全体的に覆ってしまっています。国民の中でも極めて左派で、特にガザの壁の向こうにいる人に対して共感をしてきた人たちでさえも「ハマスは徹底的に失くすしかないんだ。こうなることは分かっていた。大きな戦争は、いつか起きるはずだったから、今やるしかないんだ」というトーンになってしまっています。